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「いったいいつまで遊んでいるつもりだ？」
それを追うように、彼も反政府組織――言ノ葉連合の制服を身にまとい門を出たはずだった、が。ある日カイを招集したのは、才人を辞めるときに協力させた彼の父だった。
「遊ぶ、とは」
「本来の目的を忘れて革命ごっこに夢中になっているのではないかと思ったんだよ。いったいあの約束から何年経ったと思っている」
トントントン、と苛立たし気に父の中指がテーブルを叩く。
ああ、自分をこの世に送り出した人間でさえ脊髄でしか判断できないのか。
胸の底に穴が開く感覚がした。もうあと考えるのは、どう言いくるめてやろうか、ということばかり。ひとまず従順そうな笑みを浮かべる。父は赤い瞳を好まない。
「もう戻れ、門の中に」
「なんですって？」
は、と彼は思わず目を見開いた。
「才人に戻れ、と言ったんだ。そのためのルートならいくらでも確保してやる。あの裏切り者の始末も他の者に任せる。お前をこんなことに使うのはもったいない」
「もったいない、とはどういう意味で？」
「あの子が死んでからもう何年経ったと思っている。――私も妻も、もう気持ちの整理くらいついたさ」
目の前のカップの取っ手を握る。父の襟元を掴む。湯気の上がる継がれたての紅茶を。
一瞬そんな幻影が見えた。合理的じゃない。そう言い聞かせながら、カイは膝の上にのせていた手を今一度強く握りしめた。ふっと熱は冷めた。それとともに胸の底にあいた穴は広がった。
妹をつくった人間でさえそうなのか。そんなにたやすく忘れてしまえるのか。
「はあ、なるほど。分かりました。しかし、俺は一度始めたことはやりぬきたい性質なんです。……少しばかりモール家の私兵を貸してください。あと数か月でやり抜いてみせます」
「そこに私のメリットはあるか？」
「――ああ、ほら。216地区。あそこ、あなたにとって邪魔でしょう。ついでに消す、と言ったら？」
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