甘い誕生日 (JUMP短編集)

Happy Birthday Daiki！(3) ページ13

だけど、恥ずかしくて大貴の言葉をすぐに否定する。



「だって今日は友達と会うから私と会えるか分からないって話だったじゃん。


だから、会いたい気持ちになってないから。

寂しくないし。」



可愛くない私の言葉に彼はニヤニヤしながら私を自分のペースに乗せてくる。




「とか言っても。


ちゃんと俺のこと待っててくれてたじゃん。

コレ付けて。」





その言葉と同時に私の右耳に付いてるメンズ物のピアスを耳たぶごと優しく触ってくる。




瞬間、触れられた耳がかっと熱くなる。




ピアスに触れられたことで無意識に身体を離して彼の左耳を確認してしまう。




そこには私とお揃いのピアス。





それを見て今度は胸がぎゅっとなる。





それは、二人の特別なもので私の大切なピアス。









付き合った初めの頃、大貴が一番気に入っているピアスの片方をくれた。



照れて耳まで赤くして「ペアリングとかお揃いの物は持てないけどこれを代わりにしてね」って。





それを会う時に必ず付けるようにするのがクセになってる。




そして





このピアスを付けてしまう時のクセが私にはもつ1つある。





それは大貴も知らない私の隠しゴト。













彼からの言葉で胸が苦しくて下を向いてしまう。




そして、心を見透かされててもまた可愛くないことを言ってしまう。



「これは、ただデザインが好きで気に入ってるだけだから。」




「へーそうなんだ。

それは初耳。」


ニヤニヤしてたときとは違い低めの声。



『俺、幼稚園生じゃないですってばぁ』



大貴の声と同時に急に耳に入ってきたのは流しっぱなしにしていたテレビから聞こえるアイドルの彼の高めの声。




そのテレビから聞こえる声と今、目の前にいる彼の声が違いすぎてそのギャップにドキッとさせられる。




そして





目の前の彼を見ると私を見る目がさっき5歳児なんてからかったのと同じ人と思えない目をしていた。




それは大ちゃんなんて可愛い名前じゃ呼べないくらい男の目をした大人の大貴。




「さっきのは初耳だったけど俺知ってるんだよね。

Aがピアス付けてるのは俺に会う時だけじゃないこと。」



その含みのある言い方と男の目にさっきから何度もドキドキさせられてる私の心は限界を向かえそう。

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