※07 ページ7
「あ、もうこんな時間か」
おついちさんが腕につけた綺麗な腕時計を確認して呟く。私はその言葉にハッとして思わず弟者くんの頭上の数字を見上げた。仕方がないとは言えど当然のように時間は経過してて、残り僅かな時間に顔を顰めてしまった。
「どうした？A」
そんな私の些細な反応に気付いた兄者さんが探るように私を見つめて、思わず体を固めてしまう。
「おっつん、俺の頭に何かついてる？」
「いや？何も」
こてんと首を傾けたおついちさんが少し考える素振りを見せた後、「Aちゃん」と何か確信を持って私の名前を呼んだ。私はそれに何故か嫌な予感を感じて伺うようにおついちさんを見つめる。彼ははその綺麗な翡翠色の瞳で私を射抜くように見つめた。
「もしかして、呪いを受けてるんじゃないの？」
「！」
ビクリと肩を揺らしてしまう。これじゃそうだと言っているようなものだ。どうしたらいいのか、どうするのが正解なのだと考えるけれど答えは一向に出てこない。策も練ることすら出来ないほど無力な自分に嫌気がさして唇を�筋んでいると、隣からそっと温かい手が伸びてきた。
「A」
弟者くんの方を見るように頬に手を添えられて促され、私は素直に従う。彼の表情はどこまでも真剣で、何度か見たことのある悲し気な表情を浮かべていた。
「本当なの？」
ゆらゆらと揺れる綺麗な深紅色の瞳に私は嘘なんてつける訳もなくて、こくりと重力に従うように頷いた。すると弟者くんの瞳は更に揺れ、口は一文字にきつく締められる。私はそんな表情が見たくなくて、自分の知らない内に口を開けていた。
「弟者くんが私と会えなくなった日、私は呪いを受けて体を休めてたの。ごめんなさい、今まで黙ってて」
頬に添えられた手に応えるように手を重ね、この気持ちが通じますようにとすり寄った。すると弟者くんは私の身体をきつく抱き寄せ、「ごめん」と静かに謝った。私は何故謝られたのか分からなくて、そっと彼の大きな背中に腕を回しながら問うた。
「どうして謝るの？これは私達一族の問題なんだよ。弟者くんは何も悪くない」
そう、何も悪くない。悪いのは私なんだよ。あなたを愛してしまった私が悪いんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鳥(プロフ) - 美樹さん» 初めまして、美樹さま。ご報告ありがとうございます！こちらの確認ミスでフラグがついたままの公開になっておりました。大変申し訳ございません。以後このような事が再発しないようしっかりと気を引き締めて活動させて頂きたいと思います！ご報告ありがとうございました (2018年2月23日 10時) (
レス) id: f59bcff184 (このIDを非表示/違反報告)
美樹(プロフ) - 実在する人物が登場しますので、オリジナルフラグを外して頂けませんか？このままでは違反報告の対象です。 (2018年2月23日 10時) (レス) id: e536c968fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Ms.Flamingo | 作成日時：2018年2月22日 22時
