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刻々と静かに時は進み続け、弟者くんと会うたびに彼の頭上に表示されたきらりと光る数字は確かに小さくなっていた。弟者くんと名のある関係を持つことは、いつか彼を傷つけてしまう。それでも私は、私の我儘で彼を縛り付けていた。段々と私達の関係に気付き始めた一族は顔を青褪めさせ、無理矢理私と弟者くんを引き離そうとしたけれど、私の最期の願いと気持ちに皆は泣きながらも理解してくれて、一族は弟者くんを受け入れ始めた。
そんな時だった。

「A、今日は俺の家族と友達を紹介したいんだ」

そう言って微笑んだ彼の頭上に光る数字が勢いよくカウントダウンをし始めたのは。

「弟者くん!!」

思わず大きな声で叫ぶように呼んだ彼の名に弟者くんは驚き目を見開いた。周囲の人達も何事かとこちらを怪訝な様子で伺っているのが雰囲気で分かる。けれども私は今も刻々と勢いよく時を刻む数字に震えながら注視する。

「A…?」

恐る恐る伺うようにして呼ばれた名前にハッとして辺りを見回せば、既に周囲の人達はいつも通りの日常に戻っていて、ただ私達、私を取り巻く空気だけが異様だった。

「どうした?何かあった?」

心配げに少し屈んでこちらを覗き込む弟者くんの瞳には怯える私がうつっていた。そりゃそうだ、こんな場面で怯えない方が可笑しい。けれども、それでも私は、決めたのだ。

「ごめんね、取り乱しちゃって」
「うんん。それよりも、本当に大丈夫?また別の日にしてもいいよ?」
「大丈夫」

大丈夫だよ。

「行こう」

彼の手を優しく、けれど強く握って真っ直ぐに見返す。すると弟者くんは一瞬何か考えた後、一つ頷き「行こうか」と私の手を引いた。

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(プロフ) - 美樹さん» 初めまして、美樹さま。ご報告ありがとうございます!こちらの確認ミスでフラグがついたままの公開になっておりました。大変申し訳ございません。以後このような事が再発しないようしっかりと気を引き締めて活動させて頂きたいと思います!ご報告ありがとうございました (2018年2月23日 10時) (レス) id: f59bcff184 (このIDを非表示/違反報告)
美樹(プロフ) - 実在する人物が登場しますので、オリジナルフラグを外して頂けませんか?このままでは違反報告の対象です。 (2018年2月23日 10時) (レス) id: e536c968fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Ms.Flamingo | 作成日時:2018年2月22日 22時

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