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「たいっっっっっっ…へん、申し訳ございませんでした………」
「…………………。」
三つ指ついて深々と頭を下げる私と、備品棚に高い腰をもたれさせながら、険しい顔で腕を組む北斗さん。
キッチンスペースのバックヤードに当たるこの場所も、夜10時を過ぎれば人っこ1人見当たらない無機質な箱だ。
土10のドラマでも見かけないような大金持ちのお屋敷に、今どき�狄討亮擽發離�タ″として引き取られた私は、驚くほど仕事のできない21歳のメイドである。
物心ついた頃から既に貧乏だったけど、陽気な酒飲みの両親に「お前は天才だ！」「世界一可愛い！」と溺愛されて育った。
いざ世に出てみれば�狎�績も容姿も十人並″だということにはすぐに気付いたけれど、それでも私は何歳になっても「家族のお姫様」のまま、特に難しいことは考えず、毎日気ままに自由に暮らした。
夏は日が暮れるまで外で遊んで、冬はお絵描きしたり漫画読んだりアニメ見たり。
田舎の貧乏家庭にはハイカラなゲームもタブレットもホームシアターも無く、そのおかげでふたっつぐらい時代を間違えたような、「ザ・子ども！」と言う幼少期を過ごして来た。
そのまま高校を出て美術の専門学校へ行き、画材屋でバイトしながら卒業して東京に出て来たものの、コネも金も無い田舎の小娘が、そう簡単に好きなことで食べて行けるはずも無い。
結局は東京でもバイトしながら絵を描いて、コンテストに応募してみたり出版社に持ち込みしたりSNSに上げてみたり…と試行錯誤しながら、夢の尻尾を追いかけていた。
生活はカツカツ。
忙しい割に、特に報われることも無い。
10年後20年後を考えるのは怖かったけど、どうにか明るい未来を想像しながら頑張っていたある日、
帰宅したボロアパートのドアの前に、借金取りがいた。
「あんたの親が、借金返さんまま蒸発した。
悪いんやけど、話聞かせてもらえる？」
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作者名：マヨ
| 作成日時：2022年7月20日 1時
