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無言で家に入り、そのまま自室へ引き上げて行こうとする大我くん。気づいたら私は、反射的に目の前のスーツの背布を引っ張っていた。
大我くんが振り返り、綺麗な二重の目を大きく見開いて、私のことを見下ろしている。
「何怒ってるの…?」
「………別に。」
「やっぱり私、何かした?」
「知らねーし。」
「嘘だよ…
じゃあ、なんで急にそんな冷たくするの?
今日、クリスマスだよ?」
大我くんはわがままで暴君だけど、どんなときだって私を突き放したことなんて無かった。
「今、どうしても甘い物が食べたい!」と言い出したかと思えば、夜中にも関わらず目を擦る私を連れて、鼻歌まじりに近所のコンビニへ向かった。
私の膝を枕にして漫画を読んでいるときは、同じように何かを読むフリをしながら、柔らかな琥珀色の髪を盗み見た。
白く長い指を滑らせながら丁寧に着物を着付けられると、私まで由緒正しい宝物になったかのような気持ちになった。
同じ教室の中で華やかな女の子たちに囲まれる大我くんを見れば、誰にも聞こえないよう、心の中で「触らないで」と憤った。
いつだってそばにいた、私の世界のすべてである人。
なぜ急に嫌われたのか
もうその手を差し伸べてはくれないのか
堪え切れない涙が溢れ出し、スーツの布を掴んだまま深く深く項垂れてしまった。
ああきっと
私の、こういうところがダメなんだ。
本当にわがままなのは、一体どっちだと言うんだろう。
多才で多趣味な彼が、血縁も無い私のために多くの時間を割いて様々な稽古をつけてくれたと言うのに
その結果の私と来たら、ちっとも自分に自信なんて無いくせに、身の程も弁えずに独占欲ばかり大きくなって。
勘違いも甚だしい。
私は、付け焼き刃でもいいから家の名を汚さぬ程度の知識と教養を身につけ、この家の役に立つ駒として、問答無用で顔も知らない相手をあてがわれる。
彼は彼で、きっと彼に相応しい美しく聡明な令嬢との縁談が待っているはず。
そしてそんな日を迎える頃
私たちは、書類上の姉と弟となる運命なのだ。
いくら今べったりくっついて暮らしていても、こんな日々がいつまでも続かないのは明白なこと。
きっとそんなの、お互い出会ったときから分かってる。
けどそれならそれで、別れを迎えるその朝までは
いつだって1番近くで
その体温を感じられる存在でありたかったのに。
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マヨ(プロフ) - びたーさん» わぁ、ありがとうございます!!前作はこっそり書いたつもりが速攻バレてしまい、頭を抱えながら完結しましたwwこちらは開き直ってワンモアソングまで出しておりますwwどちらも大好きと言って頂けて、とっても嬉しいです(^^) (2022年2月8日 13時) (レス) id: e79016e87d (このIDを非表示/違反報告)
びたー(プロフ) - 初めまして。前作と合わせて読ませて頂きました。どの作品も最高です!マヨさんのページを見ていて他Gの作品を書いていた事、それが私が大好きな方だったことを知って感動してコメントしてます笑どの時のお話も大好きです!もしまた次のお話あったら楽しみにしてます! (2022年2月7日 19時) (レス) id: 2487ef4d88 (このIDを非表示/違反報告)
マヨ(プロフ) - ジョシーさん» ありがとうございます(笑)時代はYouTubeや!!このお話以外は「Figure」と言うほっくんメインのお話しか無いんで読み漁り甲斐無いと思うんですが、よかったら暇潰しに覗いてください(^◇^;) (2022年2月7日 18時) (レス) id: e79016e87d (このIDを非表示/違反報告)
ジョシー(プロフ) - YouTubeで爆笑しました笑マヨさんの小説面白そうなので読みあさりたいと思います!🤣 (2022年2月7日 1時) (レス) @page50 id: 6674c8dd0f (このIDを非表示/違反報告)
マヨ(プロフ) - ちーたゆさん» はじめまして!コメントありがとうございます!たくさんのお話読んで頂き感謝です😭ほっくんはともかく、今回のきょもは私の意志で書いたのでヒヤヒヤしてたんですが、今のところクレームは届いておりません(笑)「大好き」もらえて、私も嬉しさ爆発です!! (2022年2月6日 13時) (レス) id: e79016e87d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マヨ | 作成日時:2022年1月15日 3時