15 ページ15
思わず振り向いた私のことを、松村くんが不思議そうに見下ろしている。
「やっぱ吉川さんだ！！
久しぶり〜！！もしかして彼氏！？
え、ヤバい、超イケメンじゃーーーん！！」
私に話しかけて来たのは、中学時代のクラスメート。特に仲が良かったわけではないが、誰とでも分け隔てなく話す、クラスのムードメーカー的な存在だった子だ。
「…久しぶり。」
「わっ、もしかして卒業以来？
近所なのに、意外と会わないもんだね！
みんな本格的に受験勉強入る前に、同窓会したいね〜！」
明るい調子で短い世間話をして、その子は手を振って去って行った。
取り残された私と松村くんの間に、何とも言えない空気が漂う。
「…�犁叛遏蹐気鵝�」
「松村です。」
「…………もしかして、話すと長い？」
「松村くんの話よりは短いと思う。」
「…うるせぇな。」
もう目と鼻の先だった自分の家にクルリと背を向けて、スタスタと脇道に入って行く。
松村くんは少し躊躇うようなそぶりを見せたものの、何も言わずに私の後ろをついて来た。
ほんの数分歩いた先にある、決して広くはない児童公園。
ベンチが無いので仕方なく錆びついたブランコに腰掛けると、松村くんも大きな体を折り畳むようにして隣のブランコに座り込んだ。
開いた膝に肘をついて、広い背中を前屈みに丸めている。
あまりに合っていないサイズ感に思わず噴き出しそうになったものの、さすがに怒られそうなので頑張って我慢した。
「…中学2年生のときにお父さんが女の人と出て行って、高校入学と同時にお母さんが再婚した。だから今と苗字が違う。それだけ。終わり。」
「…………俺の話って、かなり長いのかもしれない。」
「気づいてくれて嬉しいわ。」
「…イヤミな女だな。
こっちは何て言うべきなのか、細心の注意を払って言葉を選んでる最中だったのに。」
「別に、何も言わなくていい。
送ってくれてありがとう。駅までの道、分かるよね。」
勢い良く立ち上がると、鉄の連結部分からギギッと鈍い音が鳴った。
けれどなぜか、松村くんは立ち上がろうとしない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2143人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マヨ(プロフ) - さくぱんさん» こちらも見つけて頂いてありがとうございます！新しいアカウントから出したのになぜか盛大にバレて、「自軍のところへ帰還せよ！」と退却命令が出ておりますwwけどSixTONES書くのはめちゃくちゃ楽しかったです！またいつか🖤 (2021年11月30日 12時) (
レス) id: e79016e87d (このIDを非表示/違反報告)
さくぱん - はじめまして！！いや、コメントするのはじめまして！ですね！以前から作品読んでいて、終盤あたりでもしや…と思っておりました。笑ストも大好きなのでこれからも作品をたくさん書いてくださるとうれしいです！！ (2021年11月30日 1時) (レス) id: b8a0776987 (このIDを非表示/違反報告)
マヨ(プロフ) - あわたん☆さん» 探さなくてイイヨーーー！！！せっかく久しぶりに穏やかなコメント欄なんだからさぁぁあーーー！！！松村氏の描写に自信がない分、伏線や起承転結をがっつり組んだんでね…（技巧で底上げ）（コスい）ニノのおてては、嵐オタの中では標準装備！！ (2021年11月25日 10時) (レス) id: e79016e87d (このIDを非表示/違反報告)
マヨ(プロフ) - Hano.さん» ハムレット読了済の方に読んで頂けて感無量です！ストさんを書くのは初めてだったので、楽しんでもらえたようで安心しました(^^)次回作は未定ですが、予想外にたくさんの評価を頂けたので、何らかの形でお礼ができればなぁ…とは思ってます(^_^;) (2021年11月25日 10時) (レス) id: e79016e87d (このIDを非表示/違反報告)
あわたん☆(プロフ) - 探しましたよ笑笑 何読ませていただいても流石だなぁ、って思っちゃいます。ストさん余り知らないんですけど面白かったです！そしてクリームパンみたいな手。。。これもヒントになっちゃいましたよw (2021年11月24日 23時) (レス) @page41 id: d7570b0e16 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：マヨ
| 作成日時：2021年11月14日 21時
