退屈な一日 ページ9
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その後、亮が借りてきてくれた掃除用具を使って、ゴミが散らばった床や下駄箱のなかを片づけた。
やさしい幼馴染はしばらくの間ずっとしかめ面をしていたけど、わたしが普段通りに振るまっていると、しょうもない冗談にも次第に笑顔を見せてくれるようになった。
そんなわたしたちを、死神は、なにを考えているのかわからない目で傍観していた。
「すばるくん、来たでー」
病院に着くころには亮もすっかり元気を取り戻し、彼はノックもせずにドアを開ける。
返事は、かえってこない。
いつもの調子。
さっきコンビニで買ってきたお菓子とジュースをテーブルに起き、椅子を引っ張ってくる。
亮もおなじようにパイプ椅子を開いて。
わたしたちはしばらく無言で、その伏せられた長い睫毛を眺める。
機械に囲まれた細い身体。
たくさんの管がつながれた手足。
とうめいなマスクに覆われた顔。
「ただいま、すばる」
わたしの声は、はたして彼に届いているのだろうか。
「今日も退屈な１日だったよ」
「・・・・・」
「すばるがいないと、わたしも亮も退屈」
「・・・・・」
「だからそろそろ起きて」
おなじことを語りかけ続けて、一年が過ぎた。
____________________すばるは、
数年ぶりの大雪が降ったあの日、わたしをかばって事故に遭った。
凍った道路にスリップしたトラックが歩道に突っ込んでくる瞬間を、わたしは、今でも夢に見る。
気がついたときには、赤、赤、赤_____________
白く積もった雪の上、あざやかな赤に彩られたすばるに抱きしめられて倒れていた。
トラックとの直接的な接触がなかったわたしはかすり傷ひとつなかった。たくさん降り積もった雪と、彼の腕に、守られたおかげで。
一命は取り留めた。
でも、目を覚ますかはわからない。
それが医師の最終的な診断だった。
あの日からすべてが変わってしまった。
毎晩見る夢。
突き刺さる視線。
すばるのいない毎日。
どれだけ水を飲んでも喉が乾く。
日常がガサガサにささくれ、罅割れていった。
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眞光弓眸 - バレンタインらしい、とってもいい小説でした！ (2018年3月14日 21時) (
レス) id: f707b6af10 (このIDを非表示/違反報告)
べに(プロフ) - 安紀子さん» 安紀子さん、はじめまして！こちらこそ、読んでいただいてありがとうございました！何かすこしでも届けられたものがあったなら幸いです！(^^) (2018年2月15日 23時) (レス) id: c68c31e30a (このIDを非表示/違反報告)
べに(プロフ) - 安田ヨココさん» 安田ヨココさん、はじめまして！読んでくださってありがとうございます！そんなふうに言っていただけてうれしいです！おまけ、書き上がったら更新しますね(^^) (2018年2月15日 23時) (レス) id: c68c31e30a (このIDを非表示/違反報告)
安紀子(プロフ) - 初めまして(^^) 素敵な作品をありがとうございました。読み終えて、何だか暖かい気持ちになりました(*´ω｀*) (2018年2月15日 14時) (レス) id: 5200fb55a9 (このIDを非表示/違反報告)
安田ヨココ(プロフ) - べにさんの小説をはじめて読ませて頂きました。しょうたくんが涙を流す場面がとても心に打たれました！！！最後、再会ですかね！よければおまけ的なのをかいてほしいです^ ^ (2018年2月15日 8時) (レス) id: d4fbe2e5a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：べに
| 作成日時：2018年2月14日 0時
