下駄箱のなか ページ7
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「A、章ちゃん、はよ帰ろっ」
放課後になると、亮が教室に迎えにくる。
が、今日は何故だか死神もいっしょのようで。
「どういう設定なの？」
「んっとー、おれとお前と亮としぶやんは幼馴染」
「・・・しぶやんってなに？」
「渋谷すばるのことやん」
いや、そんな真顔で言われても。
すばるのこと、そんなふうに呼ぶひとはじめてだよ。
心のなかでつぶやくと、すぐさま反応した死神は「かわいいやろ？」と己のネーミングセンスに満足げにしている。
さもホンモノの幼馴染のように。
ありもしない思い出話をはじめた二人を横目に、わたしは下駄箱のとびらを開けた。
その瞬間、そこから雪崩のようにあふれ出てきたもの。
足下に、靴に、大量のゴミ。
「A！？」
亮が血相を変えて飛んでくる。
わたしは震えそうになる手を伸ばし、ゴミにまみれた自分の靴のなかから紙を取り出した。
ルーズリーフの切れ端。
マーカーで殴り書いたような『渋谷くんを返せ』の文字。
「・・・・・俺、掃除用具借りてくるから」
亮はその紙をわたしから奪い取り、くしゃくしゃに丸めて近くのゴミ箱に押しこむと、ひどく怒ったようなようすで校舎内に戻っていく。
これで何度目だろう。
カッターでズタズタに傷をつけられたローファー。
まあ、履けないことはない。
ご丁寧につま先まで押し詰められた埃や紙くずを掻き出して、生ごみじゃなくてよかった、などと思う。
「ひっどいもんやなあ」
しばらく黙っていた死神が、なんの感情も孕まない声で言った。
「そら死にたくもなるわな」
わたしは手を止めて、その顔を見やる。
こんなにつめたい表情をするひとを、今までに見たことがなかった。
ろう人形のようだと思った。
彼はちらりともこちらを見ず、わたしの、ボロボロになったローファーをじっと見つめながら。
「お前、
昨日、死のうとしとったやろ」
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眞光弓眸 - バレンタインらしい、とってもいい小説でした！ (2018年3月14日 21時) (
レス) id: f707b6af10 (このIDを非表示/違反報告)
べに(プロフ) - 安紀子さん» 安紀子さん、はじめまして！こちらこそ、読んでいただいてありがとうございました！何かすこしでも届けられたものがあったなら幸いです！(^^) (2018年2月15日 23時) (レス) id: c68c31e30a (このIDを非表示/違反報告)
べに(プロフ) - 安田ヨココさん» 安田ヨココさん、はじめまして！読んでくださってありがとうございます！そんなふうに言っていただけてうれしいです！おまけ、書き上がったら更新しますね(^^) (2018年2月15日 23時) (レス) id: c68c31e30a (このIDを非表示/違反報告)
安紀子(プロフ) - 初めまして(^^) 素敵な作品をありがとうございました。読み終えて、何だか暖かい気持ちになりました(*´ω｀*) (2018年2月15日 14時) (レス) id: 5200fb55a9 (このIDを非表示/違反報告)
安田ヨココ(プロフ) - べにさんの小説をはじめて読ませて頂きました。しょうたくんが涙を流す場面がとても心に打たれました！！！最後、再会ですかね！よければおまけ的なのをかいてほしいです^ ^ (2018年2月15日 8時) (レス) id: d4fbe2e5a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：べに
| 作成日時：2018年2月14日 0時
