死神と黒猫 ページ28
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「・・・なあ、すばるくん?俺らさっきからなに見せつけられてるんやろ?」
「知らんっ!」
ダイニングテーブルでビスケットをつまみつつ眉を垂れる亮と、心底ご立腹なようすのすばる。
ここまで彼らは完全に外野状態だった。
ごめんよ、ふたりとも。
「・・・ほら、怒ってんで。おまえの魂の恋人が」
「なんかその言い方ダサくない?」
章大は振り向き、そのきれいな目で睨んでくる。
すこし冷めた蜻蛉玉のひとみが、あのころの彼を思い出させた。
「なあ、いつも思ってたんやけどさ、Aってなんで章ちゃんのこと死神って呼ぶん?」
「そういうプレイやからやで」
「おい死神」
勝手なこと言って。
本人はわざとらしくにこにこしているけど、亮は完全に固まってしまっている。
死神はそんな亮を手招いて、『これ聴いて』と作業途中の曲を試聴させはじめた。
ふたりはおなじ音楽業界に生きる人間で、あの人見知りの亮が瞬く間に心を開き、今度、某アイドルグループの楽曲をいっしょに制作するらしい。
これはわたしの推測ではあるのだが、たぶん、偶然。というより必然に。
亮と章大は運命共同体なんだと思う。
わたしはダイニングテーブルに移動する。
ビスケットをばりばり嚙みくだきながら、死神をじっとにらみつけるすばるの横顔。
「すばる顔こわい」
「・・・俺あいつきらいや」
「はいはい、もう聞き飽きたよ。それ」
「Aもりょーもあいつに盗られた!!!」
「そんなことないって、もー」
許さへん!と毛を逆立てて威嚇する黒猫ちゃんを、死神は余裕顔で見やっている。
なんでこう、あいつはいつも好戦的なんだろう。
もっとみんなで仲良くしてほしいのに。
「オマエどっか行け!消えろ!」
「ここおれの家やし。しぶやんこそ帰ってええよ?」
「嫌や!!仲間外れにすんな!!」
「はは、難しいコやなあ〜」
いつまでもこんな日々が続けばいいと、切に思う。
あなたが居て、わたしが居て。
それらはすべて奇跡なのだから。
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眞光弓眸 - バレンタインらしい、とってもいい小説でした! (2018年3月14日 21時) (レス) id: f707b6af10 (このIDを非表示/違反報告)
べに(プロフ) - 安紀子さん» 安紀子さん、はじめまして!こちらこそ、読んでいただいてありがとうございました!何かすこしでも届けられたものがあったなら幸いです!(^^) (2018年2月15日 23時) (レス) id: c68c31e30a (このIDを非表示/違反報告)
べに(プロフ) - 安田ヨココさん» 安田ヨココさん、はじめまして!読んでくださってありがとうございます!そんなふうに言っていただけてうれしいです!おまけ、書き上がったら更新しますね(^^) (2018年2月15日 23時) (レス) id: c68c31e30a (このIDを非表示/違反報告)
安紀子(プロフ) - 初めまして(^^) 素敵な作品をありがとうございました。読み終えて、何だか暖かい気持ちになりました(*´ω`*) (2018年2月15日 14時) (レス) id: 5200fb55a9 (このIDを非表示/違反報告)
安田ヨココ(プロフ) - べにさんの小説をはじめて読ませて頂きました。しょうたくんが涙を流す場面がとても心に打たれました!!!最後、再会ですかね!よければおまけ的なのをかいてほしいです^ ^ (2018年2月15日 8時) (レス) id: d4fbe2e5a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:べに | 作成日時:2018年2月14日 0時