大鎌と涙 ページ17
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気づいたときには、喉元に、ひやりとつめたい鋭利なものが押しつけられていた。
逃げるどころか、反応するひまさえなかった。
冷や汗が流れる。
舌がからからに乾いて、声が出せない。
「んふ、震えてる？」
「・・・・・」
「かーわいっ」
耳たぶにかかる吐息と、回された腕。
でも、体温を、感じない。
ぴったりと密着した身体に、伝わってこない鼓動。
反対に、わたしの心臓は壊れそうなくらい大きく動いている。
「自分、ええにおいするな？」
「・・・・・」
「ここまで濃い子は久しぶりやわ〜」
「・・・っ」
「そんな怯えんといてよ。俺、死神のなかでも
やさしいほうやねんで？」
嘘だ。
全身の肌が危険を察知する。
はやく逃げなくちゃ。
頭は回るのに、身体が言うことをきいてくれない。
やだ
わたし、このひとには、
「・・・る・・・」
たすけて
「す・・・ば、る・・・」
________________＿＿＿____しょうた
「ごめん、それうちの子やわ」
ああ、
「もうマーキングもしてあんねん。手のひら見た？」
わたし、なんで、
「そいつ、おれの獲物やから」
なんで、死神が来てくれて安心してるんだろう。
彼だって、おなじように。
わたしを未知へ連れ去ろうとしているのに。
「・・・おい」
いつの間にか、喉に押しつけられた刃は無くなっていて、代わりに死神に肩を揺さぶられた。
「大丈夫なん？」
わたしはその場に膝から頽れる。
身体がふるえてしまっていた。
言いわけなんて、できなかった。
「・・・はは、駄目だな、わたし」
「・・・・・」
「やっぱ、こわいんじゃん。死ぬの、ビビってんじゃん」
その通りだ。
だって、わたしは。
「・・・帰ろ」
手を引かれて、家に帰った。
死神は当然のように靴を脱ぎ、わたしの家にずかずかと上がりこんでいく。
「あら、章ちゃんいらっしゃい」
母はにこにこと出迎える。
今のわたしたちは、傍目には幼馴染だ。
どうやら死神の親は旅行中ということになっているらしく_________泊まっていきなさいと________母が言い、彼はうなずく。
「あーあ」
二階の部屋に着くと、死神は、困ったように笑った。
「泣かんでもええやん」
抱きしめる腕はつめたいのに、どうしてだろう、心があたたかい。
死神はわたしが泣き止むまで、ずっとそうして背中を摩りつづけてくれた。
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眞光弓眸 - バレンタインらしい、とってもいい小説でした！ (2018年3月14日 21時) (
レス) id: f707b6af10 (このIDを非表示/違反報告)
べに(プロフ) - 安紀子さん» 安紀子さん、はじめまして！こちらこそ、読んでいただいてありがとうございました！何かすこしでも届けられたものがあったなら幸いです！(^^) (2018年2月15日 23時) (レス) id: c68c31e30a (このIDを非表示/違反報告)
べに(プロフ) - 安田ヨココさん» 安田ヨココさん、はじめまして！読んでくださってありがとうございます！そんなふうに言っていただけてうれしいです！おまけ、書き上がったら更新しますね(^^) (2018年2月15日 23時) (レス) id: c68c31e30a (このIDを非表示/違反報告)
安紀子(プロフ) - 初めまして(^^) 素敵な作品をありがとうございました。読み終えて、何だか暖かい気持ちになりました(*´ω｀*) (2018年2月15日 14時) (レス) id: 5200fb55a9 (このIDを非表示/違反報告)
安田ヨココ(プロフ) - べにさんの小説をはじめて読ませて頂きました。しょうたくんが涙を流す場面がとても心に打たれました！！！最後、再会ですかね！よければおまけ的なのをかいてほしいです^ ^ (2018年2月15日 8時) (レス) id: d4fbe2e5a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：べに
| 作成日時：2018年2月14日 0時
