07.アイドルはストーカー？ ページ7
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国民的アイドルとエレベーターで鉢合わせる。
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そんなこと、人生で何回も起きるはずがない。
いや、起きてはいけない。
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和也「あ、にのみやちゃん」
「…梅宮、なんですけど」
和也「今日は遅いのね。もうてっぺん回ってるけど」
「私が遅いんなら二宮さんも遅いんじゃないんですか」
和也「俺の職種なら当たり前でしょ、こんな時間。でも普通のOLにしてはなかなか遅い帰宅時間じゃない？」
「そうですね」
和也「ナニ？オトコ？」
「別にあなたに関係ないでしょ？…あ、着いた。それじゃ」
和也「にのみやちゃん」
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和也「“またね”」
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ーーーー…おかしい。
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「…ねぇ、同じマンションの人と毎回エレベーターで鉢合わせる確率って…ほぼゼロに近いよね」
香奈『急に電話かかってきたから出たら、なにそれ。よくわかんない質問されても困る』
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国民的アイドルの彼とたまたま、エレベーターで鉢合わせた日からもう六日も経ってる。
なのに、六日中五日間鉢合わせる、なんてそんなことありえない。ありえるはずがない。
偶然にしては出来すぎている。そういう場合にはどちらかが「偶然を装っている、必然を作ってる」ということになるが
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私は何も計算せずにエントランスを潜っている。
今日だってたまたま仕事の打ち上げで遅くなっただけ。
ということは、ありえないとは分かっていても可能性はたった一つになる。
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香奈『知らないよ、そんなの。あっちが勝手に待ち伏せしてるだけでしょ。ストーカーだよストーカー』
「え゛っ」
香奈『Aのこと狙ってるだけじゃないの？きっとそうよ、もう眠いから寝るねバイビー』
「えっ、かな、えっちょっ」
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プッープッー…と耳元で切れる電子音。
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「ちょっと…待ってよ……」
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私とあの人は六日前に初めて顔を合わせた。
そしてただ一言、二言言葉を交わした。たったそれだけの関係だ。
それなのに五日間も「待ち伏せ」される？いやされない。一目惚れとかじゃない限り。
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「まさか、まさかね…」
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でも彼だって人間だ。一目惚れぐらいする。
…そんな、でも私が？
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