25.スカイブルーを身につけて ページ25
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私のことをにのみやちゃん、と呼び続けていたのは予防線だったらしい。
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和也「朝のテーブルに味噌汁が出て来たのとか…、三年ぐらい見てないわ…」
「彼女に作ってもらったこととかなかったんですか？」
和也「あー…ないない。前の彼女はね、爪キラキラしてたの。ネイルか。ネイルしてる手で料理作ってもらいたくないの」
「へえ…」
和也「その前の彼女は料理が劇的にヘタだった(笑)。まともなメシ、朝から食うの久しぶり」
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一人暮らしを始めてからずっと外食だった、という彼のキッチンは宝の持ち腐れ。
食材、調味料は沢山きちんとあるのに。
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でかすぎるテレビを見ながら、シャカシャカと歯を磨く二宮さんに疑問をぶつけたら
そんな答えが返って来た。
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私も一人じゃない朝は、何年振りだろう。
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和也「料理できるんだね、A」
「や多少はできますよ。凝ったものは出来ませんけど…」
和也「ふうん。ネイルもしてないし。百点満点」
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いただきます、と基本的な簡易朝食を二人ぶん作って向かい合わせに座って手を合わせる。
味噌汁を啜った二宮さんが、今まで眠そうだった目をしていたくせに急にカッと見開いて
うまい！って子供みたいに無邪気に笑うからこのギャップがこの人のファンは好きなんだろうなぁ、なんて。
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同じ作りの部屋なのに、なんでこんなにも窓の外の朝日の見え方が違うんだろう。
眩しい太陽を目を細めて見つめる。
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和也「A」
「はい？」
和也「やめよ、それ」
「え？」
和也「敬語。やめよっつってんの」
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二宮さんがぴょこんと跳ねてる前髪を躍らせながら言う。
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「え、でも」
和也「でももなんでもないの。敬語抜いて」
「…わかった」
和也「あと俺のことは二宮さんじゃなくて、和也」
「無理」
和也「即答かよ」
「かずっち。かずっちならいい」
和也「それ前の彼女の呼び方」
「ダサいネーミングセンス！」
和也「それはお前もだわ」
「かずぽん」
和也「それ前の前の彼女」
「ネーミングセンスない女とばっか付き合ってんな！」
和也「うっせバカ」
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ぎゃあぎゃあ騒ぎながら
結局呼び方は、カズになった。
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