微熱37℃【K.N】 (ページ21)

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21.悪魔は案外近くにいたページ21

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運転手が運転席に乗って、車が動き出す。

二宮さんは口角をキューっとあげた、今まで見たことがない甘い、甘い微笑みを浮かべて

立ち去る車にひらひらと手を振って、裏口へと入っていく。

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そんな車はこちらへとやって来て、私はなんとなく電柱の影にサッと隠れて

通り過ぎる車の窓を覗き見すれば

ご機嫌な笑顔で窓を開けて夜空を眺めている、女性がいて。

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ーーーーー…間違いない。

あれは、小野麻里だ。

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一瞬にて通り過ぎた黒塗りの車を見送って

ガクガクと震え上がる頭を抱えて、ふらふらとした足取りでマンションのエントランスへと向かう。

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…どういうこと？なんであの人と小野麻里が一緒にいるの？

なんであんな見たことない笑顔を向けてたの？

麻里さんは、誠くんの話なら今日は課の飲み会だって言ってた。……二宮さんが、ミンテンドウの飲み会？

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アンバサダーを務めることになったからありえなくはない話だけど、でもなんで麻里さんがわざわざあの人を送る？

芸能人だから？VIPだから？

…いやいや、うーん…。

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テンパる頭を抱えてオートロックを解除して

エレベーターへと向かって上、のボタンを押せば。

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和也「覗き見って意外に悪趣味なんだね、にのみやちゃん」

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ゾワっとした。

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今までに聞いたことがないような地を這うような低い声。

まるで気配がなかったのに突如背後から現れた、その人は

私の耳元でそう囁いてクククと喉を鳴らし笑う。不敵に笑う。

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恐る恐る、バクバク…と震える心臓を抑えてゆっくり振り向けば。

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和也「思ったよりバレるの早かったな」

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口元は笑っているのに

綺麗な色をしている目は笑っていない

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「に……、のみやさん……」

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二宮さんが、いた。

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