20.しあわせ、とは？ ページ20
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美味しいご飯を食べて、他愛ない会話を繰り広げ
最近どう？とか美味しいお店を見つけたんだ、とか次に会えるのは金曜日かもしれない、とか
金曜日は残業って嘘ついて遅く帰るから、その時は…ね、と耳元で囁かれた私は単純だから身体が熱くなる。
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楽しいデートの時間はあっという間に終わりを告げ、家まで送るよと誠くんが言ってくれたけど
これ以上一緒にいたら辛いものがある、と判断して丁重にそのお誘いをお断りした。
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ほわわん、とした煩悩だらけの頭を抱えて電車に乗って
幸せな気持ちで満たされた心を閉じこめながら、電車を降りて家路を辿る。
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夜の外はやっぱり風が冷たくて、思わず背中を丸めて歩いてしまう。
ふと空を見上げると、空は曇っていて星なんか一つも見えやしない。
田舎とかだったらもっと綺麗に星空が見えるのかなぁ…なんて柄にもないことを思いながらヒールでアスファルトを蹴る。
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やっぱり、誠くんを私のものにしたい。
麻里さんと別れて欲しい。
麻里さんのような財力も、美貌もないけれど勝てるところだって必ずひとつはあるはず。
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こんな背徳を背負ったまま、星空の下を歩けない。
堂々と笑って歩きたい。
ここはひとつ、あの国民的アイドルの「助けてあげる」の言葉に賭けてみようかーーーー…。
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そう思った、とき。
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「ん……？」
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今日はたまたまマンション裏口のようなところから帰ってきていた私は
横付けされた立派な黒塗りの車に目を奪われた。
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なんかあの車、どっかで見たことがあるような…。
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あれ？私の勘違いだったっけか。
遠目からその黒塗りの車を見て歩いていれば。
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運転手のような人が降りてきて、後ろのドアを丁寧に開ける。
あー、お金持ちだー。って。いいなぁ、ああいう車に乗れる人生だったらなぁって。
そう思えるのは今のうち。
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運転手さんが開けた扉から降りてきたのは、紛れもない国民的アイドルで
彼は柄にもなくスーツを着こなし、オトコマエな顔をして降りてくる。
そして車内にいる誰かに話しかけ、甘ったるい笑みを浮かべた矢先
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「……は？」
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私の目に映ったのは
小野麻里だった。
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21.悪魔は案外近くにいた→←19.女はいつだって可愛くなれる魔法を持っているものなのよ
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