13.プロポーズ大作戦ならぬもの ページ13
.
.
ーーーー…どうして彼が私の名前を知っているのか。
.
.
その問いかけはいくら考えても、答えは容易に出てきてくれはしなかった。
.
.
和也「とりあえず、小野誠と小野麻里の関係をどうにかしないといけないでしょ」
「…はあ」
和也「別れさせたい？それとも別れなくてもいいから小野誠の気持ちのベクトルをこっちに向かせたい？」
「…いやわかんないです」
和也「でもまあ確かに小野誠も合理的な考えはしてるよねぇ。つーかさ、誠、でしょ？全然誠実じゃねえ！(笑)」
「じゃなくて私たちの今のこの空間がわかんないです！！」
.
.
ガッ！と大声を出せば、隣で既にビールの缶を二つ空けている二宮さんがケラケラ笑い出して
そんな彼の左手にはボールペン、おいくらですか？ってぐらいのテーブルにはキャンパスノート。
そこには「にのみやちゃん救出大作戦」と記されている。
.
.
ーーーー…何故こんなことになったかと言うと。
.
.
.
ーーーー…和也『助けてあげよっか』
.
ぬれた眼差しでそうじっ…と私を見つめてくる国民的アイドルの視線から
私はやっぱり、逃げられやしなかった。
.
わかったことは私はやっぱり女であって
国民的アイドルなんかに見つめられたら、胸が高鳴るのは当然で
気づいたら「お願いします」ーーー…と口走っていた。
.
.
…いや、嘘。
.
.
私だってバカじゃない。子供でもない。
「なんで私の名前を知ってるんですか？」と彼に尋ねたら彼は平然と「この前エレベーターで乗り合わせたとき、首から社員証ぶら下げてたじゃない」と言った。
側から聞いたら辻褄があうだろう。ーーー…でも彼の言った言葉は十中八九、大ウソだ。
.
私は社員証をぶら下げない。基本ずっとカバンに入れている。
ぶら下げるとしても社内だけ。帰るときは外して、そのままピ。と機械を通してカバンに入れる。
首にぶら下げて帰るなんてマヌケなことはしない。
.
彼は嘘をついている。
ということはもともと、この人は私の名前を知っていたということになる。
.
.
「ーーー…そうなんですね」と言って騙されたフリをして、彼の作戦に乗ることにした。
.
彼の正体を、知るために。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4754人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
