12.助けてあげようか。 ページ12
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なんでテレビの向こう側にいるオトコが
こんなにも私に突っかかってくるのかよく分からなかった。
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ーーーー…でも。
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和也「テキトーに座ってて。俺着替えてくるから」
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国民的アイドルの部屋に誘われるがまま
着いてきてしまった私自身がもっとよく分からない。
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どういう状況？…っていうか、なんで誘われてるの？私。
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部屋の間取りは私の一つ上の部屋だから、全く変わらなくて
唯一の違いと言えば、私の部屋に比べて彼の部屋は殺風景だった。
奇妙だなと思ったのは、テレビが何故か三台あること。……芸能人は三台も必要なのかな…。
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すっかり涙は引っ込んで唸っていると ボフッと急に頭に乗っかったふわふわのバスタオル。
うわっ！？って大きな声を出して肩を震わせて振り向けば
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和也「この雨ん中歩いてきたんでしょ。使えば？」
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って着替えた二宮さんがいて。
…まあ着替えたと言ってもヨレヨレのからし色のTシャツから白いTシャツに変わっただけなんだけど。
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「あ…、ありがとう…ございます…」
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私、なんでこんな有名人に親切にしてもらってるんだろう…。
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クエスチョンマークだらけの世界で、取り敢えずぬれてしまった毛先やらなんやらをソファに座りながら拭いていると
不意にビール缶を持った二宮さんが隣に座った。
その時にふわりと香った、馴染みのある香水。
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プシュ、とプルタブが開く音。
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和也「…で？飼われてるんでしょ？」
「…言い方に悪意があります」
和也「悪意しかないことしてるんじゃないの」
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ーーーー…なんで、私はこの人に見透かされてるんだろうか。
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「…そうですよ、あなたもお察しのように堂々と言えない人とお付き合いしてます。でも…」
和也「遊ばれてるかもしれない、って思い始めた？」
「…、なんで」
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なんで分かるんですかーーーー…、そう言おうとした、ときだった。
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和也「俺が助けてあげよっか」
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和也「ね、Aちゃん」
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ーーーー…私はこの人に名前を教えていない。
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世界が、息を吹き返し始めた。
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13.プロポーズ大作戦ならぬもの→←11.裏切りという名の、夜。
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