11.裏切りという名の、夜。 ページ11
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私の頭の中には録画機能があるんだろうか。
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やっとマンションに着いたのに、ずっと頭にこびりついて離れないさっきの映像。
誠くんと、麻里さんの仲睦まじい笑顔。
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誠くんは多分、突然の麻里さんの予定に応じて私のことを切ったんだろう。
そして多分、色々あってスマホを操作できない状況に陥った。
ーーー…それでも、トイレとか。連絡をしようと思えば出来たはずだ。
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それをしなかったのは、リスクを冒したくなかったから。
それはすなわち
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和也「ーーーー…あ。また会ったね」
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私が二番手だということを明らかに示している。
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開いたエレベーターの扉。
ニヒルな笑顔で私にそう言ってきた国民的アイドル。
見慣れてしまったその風景が
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恐らく、私をダメにした。
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和也「ーーーー…梅宮ちゃん？」
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そしてこのアイドルはズルい。
こういうときだけ梅宮、ってちゃんとした名前で呼ぶ。
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目から溢れ出た我慢の結晶は
キュッと結んだ唇は血が滲み出した。
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「うっ…」
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そう嗚咽を出したのが合図だったのかもしれない。
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彼はキャップを深く被り直して
開のボタンをずっと押していた手を離して、私の手を代わりにとったかと思いきや
エレベーター内へと誘った。
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ガタン、と揺れた大きな箱。
扉が閉まってゆっくりと上がってく箱。
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うっ、と泣きじゃくる私を横目に
国民的アイドルはひっそりと唇を開く。
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和也「飼われてるんだろ？」
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「飼われてる」ーーー…馴染みがない言葉に驚いて
は…、と我ながら情けない震えた声で顔を上げたとき
初めてこの人と目が合った。
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薄い色素のビー玉のような瞳。
スッとした鼻筋。
陶器のような白い肌。
色を持った唇。
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「飼われてるって…」
和也「普通のOLでしょ？こんなマンション住めるわけない」
「…」
和也「いるんでしょ。このマンション用意してくれた、バーターみたいなのが。」
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エレベーターが、いつの間にか
彼の部屋があるフロアについていた。
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