01.ウワキモノ ページ1
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そこそこの会社に就職して
三十路手前の結婚適齢期で結婚して
三十代前半で子供を産んで、出来れば一姫二太郎で
お金持ちの暮らしはいらないから、平凡な普通の家庭を持つことが私の人生の設計プランで
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私は、何も望んでいなかったはずだった。
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「…今、なんて……？」
誠「俺、結婚してるんだ」
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大学生の時に知り合った彼ーーー…、小野誠さんは一つ上の先輩だった。
図書館通いだった私にとって、いつも席の端っこでパソコンに向かってる誠くんが気になる人で
誠くんが実は人気の先輩で
そんな誠くんが私のことを気になってくれていたと気づいた時には告白されて付き合ってた。
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それでも誠くんが就職の時に、やっぱり忙しくてお互い連絡も取れずすれ違いが続いて
自然消滅という形で別れを取った。それから数年後
私たちはお互いの会社の取引相手、という形で再会を遂げる。
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すっかりかっこよくなった(いや元々かっこよかったけど)、誠くんはしっかりとサラリーマンをやっていて
再会して数週間、私たちは夜を共にし晴れて元サヤとなった。
それからはもう幸せの連続で。デートも何回もしたし、お互いがお互いの仕事を認め高めあったりして本当にいい関係だった。
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そろそろ結婚の話もあるかな、と思ってた
そんな冬のはじまり。
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愛する恋人からショッキングな内容を聞かされている、今、なう。
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「…ちょっとまって、整理させて…？」
誠「うん、もちろん」
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いやいや、もちろんじゃなくてさ！
なんでそんな不実を隠していたくせに爽やかに落ち着いてコーヒーが飲めるんですかね。
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「え、いつ…？」
誠「半年前かな」
「はん、としまえ…」
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半年前…ってちょうど誠くんと再会した頃じゃんか。
ああ、ちょっと待って状況がよく呑み込めてきたぞ。
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「お相手は……？」
誠「ウチの会社の社長の娘」
「社長令嬢…」
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そうか。そうなのか。
なるほど、逆玉の輿に乗ったわけだ。社長令嬢と結婚すればゆくゆくは誠くんがミンテンドウの社長。
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理解した。
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私は最初から、「不倫相手」だったわけだ。
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