【02】 ページ50
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扉を開けた人。その人に見覚えがあった。
というか、その人は私の大好きな人だった。
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和也「…何してんの、浮気？」
「かず」
和也「羽柴に問い質したらおじさんと飲んでるとか言うから」
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ぐい、と強引に引っ張られた腕。慌てて振り向くと大野さんは楽しそうに笑って「がんばれー」と手を振ってくれた。
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そのまま羽柴さんが横付けしてくれていた車に押し込められて「家」とカズが呟くとマンションまで動き出す車。
車内はずっと無言で、バックミラー越しに羽柴さんと目が合うと「ごめんなさい」と口パクで謝られた。
羽柴さんは悪くない。
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玄関の扉を開けて、そのまままた押し込められて
バタン、と背後で扉が閉まる音がした。と刹那。
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「ちょ…か…んんっ」
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胸がどうしようもなく高鳴ってしまうぐらいの、オスの顔をしたカズが私を捕まえて
靴も脱がないで壁に押さえつけられては、ぬるりと器用に入ってくる舌に戸惑いながらも応える。
その反応に満足したのか、膝を割って入って私を逃げないようにするなんて。…逃げやしないのに。
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「か…」
和也「……もう知らね」
「え？」
和也「俺もいい人ぶんのやめた」
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ぐい、と引っ張られた腕。
見慣れた寝室。
ぼすん、と押し倒される身体。
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和也「抱くよ」
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何この急展開。その戸惑いがどうやらカズにもちゃんと伝わったらしい。
怒ってるぽいのに、ちゃんといいでしょ、と聞いてくれるあたりがカズだ。
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和也「誠のことがあったからあんま焦んない方がいいかな、とか色々考えてたのよ、俺も」
「…」
和也「隣で好きな女が寝てたら抱きたいに決まってんでしょ」
「…かず」
和也「だから誕生日にAが欲しいっつったの。誕生日に言えばズルくないでしょ」
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悪い男だな俺、って苦笑いを浮かべる。
…それがあまりにも、愛しくて。顔をあげてカズにキスをすれば、一瞬驚いてそのまま絡み合うもの。
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「…いいよ、あげる。」
和也「……ん、A」
「誕生日プレゼント」
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私がそう笑うと、カズはまた微笑んで
1秒後
見たことがない顔に、変貌した。
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おわり♡笑
終わり
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