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ずっと騙してた。
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助けることができなかった真優に境遇が似ているからって、勝手に罪悪感を打ち消すために近寄って
そんなの自己満足でしかないのに。そんなの、自分勝手なだけなのに。
Aはそんな俺の煩悩なんか知る由もなく。無邪気な目で俺を見つめてきた。
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罪悪感を打ち消すために近寄った、自己満足。
自己満足だったくせに、勝手に好きになった。
これ以上って、きっとない。
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もうあの子を巻き込むわけにはいかない。
俺はーーーー…あの子に「普通」をあげられない。
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羽柴「二宮さん…」
和也「…スマホ返す。着替える。とにかくずっとこのまんまでいるわけにはいかないから。わかってるから」
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そう言って、Ｔシャツを脱ぎだすと全てを察したように羽柴は一礼して部屋を出て行く。
情けない。
…情けねぇ。
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Aはどんどん強くなっていくのに、俺はどんどん弱くなっていく一方。
新しい部屋を、探さなきゃいけないのは。
…わかってる。
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テキトーに着替えて、いつも通り羽柴の運転で街を駆け抜けてスタジオに向かう。
今日は嵐さんでPV撮影の日で。一人だったらまた変なバカなことを考えてしまうから五人で本当によかった。
「おはよーございまーす」って控え室に向かうと既に俺以外は到着済みで各々に「おはよ！」って挨拶してくれる。
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嵐さんは座る位置が各スタジオで決まってる。今日のスタジオ撮影の席は俺はおっさんの隣で
ぼすんと勢いよく腰を下ろせばニヤニヤ気持ち悪い笑顔を向けてくる。嫌な予感。
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智「味噌汁の匂いがしない」
和也「…うっせぇな、まじで」
智「まだうめちゃんとは仲直りしてないのか〜」
和也「だからうめちゃんってそれやめろや」
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あからさまに不機嫌な顔をすると、それがおっさんの煽り材料みたいでまたニヤニヤ。
…っとにどうにかして頂きたい。
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智「新しい部屋見つかったの？」
和也「まだ」
智「ふうん。いいんじゃない、それもそれで」
和也「あ？」
智「新しい女見つけりゃいいじゃん。一人に執着するんじゃなくて」
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おっさんは、冗談を言っているようには見えなかった。
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