182.彼の計算ミス ページ23
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真優からAと今日話してきたって話を聞いてね。
今日録ったばっかのラジオを流してもらったの。ラジオネーム「二宮くんがうめちゃんって呼びたくて会いたくて仕方ないさん」のメッセージ。
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カズは未だに止まらない私の涙を指で掬い上げながら、私の知らない物語を紡ぎ出す。
私の心臓はバカみたいにバクバク、バクバクうるさくて
こんなに近い距離だったらカズに今にでもバレてしまうんじゃないか、とヒヤヒヤする。
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和也「最初、俺ん中でAは真優の代わりだったのね」
「…うん」
和也「でも蓋を開けたら真優と正反対でさ。超タフだし、ちょっと気ぃ強いし」
「…褒めてる？」
和也「(笑)、でもちょっと突くとすぐ折れるぐらい弱っちくて。守ってやりたいなって思い始めたのが多分最初の俺の計算間違い」
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カズが困ったように笑う。
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和也「絶対そこまでしなくていいだろって思うぐらい、誠に突っかかったし。でも自分でもこの感情がなんなのか、わかってなくて」
「…」
和也「三十ウン年生きてんのよ？なのにまだわかんない感情があるんだ、って戸惑って」
「……」
和也「Aが契約を破棄したいって言った時、ホントんとこ、超焦った。確かにAが言うことは尤もだし、間違ってなかったからね」
「……うん」
和也「だけど、俺の計算間違いがまたここで出てくんのよ。何かわかる？」
「…？」
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記憶の糸を手繰り寄せる。
けれどコレ！といったものは出てこなくて、わからないという表情をすればカズがまた笑う。
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和也「Aが、俺のこと好きだって泣き出すの」
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ーーーー…そうだ。カズに急に冷たくされて、どうしようもなくて。
好きだ、と思わず口から出てしまった言葉。
それと同時に比例するように出てきた、なみだ。
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和也「どうしたらいいか分かんなくて、好きだって感情を逆手に取った」
「……」
和也「俺のこと好きなら好きにしてみせてよ、って無茶な契約させて。俺から離れられないようにって」
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再契約。
あの時、カズは余裕綽々で私なんか全然思ってないように見えていたのに。
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