181.芸能人パワーフル活用 ページ22
.
.
かちゃ…としっかりと鍵を施錠して、靴を脱ぐ。
息をすん、と吸うと微かに煙草の匂いがしてそれがまた私を強くする。
.
.
恐る恐る、突き進む見慣れた廊下。
明かりが灯されている、何帖あんの？ってレベルのリビングへ続く扉を開けば。
.
.
我慢していた、私の中の糸が切れて
涙がバカみたいに溢れ出した。
.
.
止まらない。止まらない。止まることを多分知らなくなってしまったそれらを見て
人をダメにするソファに座り込んでいた、その人が立ち上がって私を見る。
.
.
.
あーあーあー。泣かないの。
.
.
和也「A」
.
.
ーーーーー…あぁ、カズだ。
.
カズだ。カズだ。カズ。カズだ。私の知ってる、カズだ。カズ。
馴染みのある声。ちょっとムカつく笑い方。全てが変わっていなくて
だばー、とバカみたいに溢れた涙は止まらせたいのに止まらない。
.
.
「かっ、かず」
和也「可愛いお顔が台無しよ」
「…っ可愛いなんて思ってないくせに」
和也「思ってるよ。可愛いって」
.
ふらり。カズが立ち上がって、こちらへやってくる。
私の目の前に佇んで、カズよりちょっと背が低い私を見下ろしてくふふって可愛らしい笑い方。
.
.
和也「好きな女の子のことは、可愛いって思うでしょ。」
.
.
ぽん、と頭を撫でられたらもうダメだった。
この人は何もわかっていない。
.
.
「なに…、あのラジオ」
和也「あ、聴いてくれた？」
「なに……うめちゃんが出てくる小説って」
和也「普通にエピソードとして読んだらダメじゃん？なら小説読んだんですけど二宮くんどう思いますかー、ってメールならまだ不自然じゃないでしょ」
「バリバリ不自然だったよ……なに公共の電波使ってるの…」
和也「芸能人パワー？」
「また……？」
.
.
もう何も言えない。
カズに手を引っ張られて、二人して人をダメにするソファに腰を下ろす。
目の前の窓からは当たり前のように、東京の夜景が映り込んでいて
.
.
その光景に、なんでかまた泣きそうになった。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7331人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
