176.私の全ては彼で形成されている ページ17
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太陽がジリジリと首元を照りつける。
日焼け止め、塗ってきたよね。って思う自分に、思わず笑ってしまう。
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入念に日焼け止めを塗りたくり始めたのはカズのせい。
なんのスキンケアもしてないのに、カズは肌が馬鹿みたいに白いものだから腕を出して比較すればその差は歴然。
愕然とした私の顔を見て、ケラケラ笑ったカズが許せなくて日焼け止めを大量買いした。
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そう。
私の行動は、全て彼で形成されている。
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「私、樋口さんと小野さんと決着つけてきました」
羽柴「…そうですか。」
「誠くんは捨てるようにしてきちゃったけど…、後悔はしてません。」
羽柴「…はい」
「樋口さんに言われたんです。カズと付き合うのは覚悟がいるって」
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誰だって願っている。
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「そんなの…」
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大切な人が自分の隣にいてくれますように、と。
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「契約したあの夜から、出来てます」
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ーーーー…俺が助けてあげよっか。
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今でも鮮明に、そして濃厚に思い出せる。
色香が漂う瞳。
ゆるゆると何かを企んでいる口元。
ニンマリ、と微笑んだ先に零された言葉は酷く不鮮明で。
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東京の街のど真ん中。
人生どん底。
手を差し伸べてくれたのは、カズだった。
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「…私、どうしてももう一度カズに会いたいんです」
羽柴「……」
「お願いします。カズの居場所を、教えて頂けませんか」
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思い切り頭を下げれば、うなじが暑くてジリジリと焼ける感覚に襲われる。
もう夏だ。
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羽柴「……梅宮さん、顔あげてください」
「……」
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ゆっくりと、言われた通りに顔をあげる。
ボサボサになった前髪の向こう側
羽柴さんが困ったような顔をして、言葉を繋ぐ。
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羽柴「プライバシーに関する質問ですので、お答え出来かねます」
「羽柴さ」
羽柴「二宮の連絡先を教えることも私には出来かねます」
「…」
羽柴「ただひとつだけ、アドバイスをするのなら」
「…え？」
羽柴「普通に過ごしてください」
「…どういうことですか？」
羽柴「今日一日、いつも通りに過ごせばいいんです。いつも通り」
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いつも通り。
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