142.One more chance…side N ページ7
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和也「それから芸能人パワーめちゃくちゃ使った」
「…芸能人パワー…」
和也「芸能人パワー」
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調べれば、パトロンの名前は小野誠。妻は小野麻里。
小野誠を叩けば出て来る、埃の数。
やっと、Aの名前を知った。そしてAが誠の不倫相手だって言うことも。
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考えるより、身体が勝手に動いてた。
今度こそ。今度こそ。
俺は小野麻里に近づいて、Aと関係を持つ口実を作ろうとした。
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ーーー…あの時見た顔。彼女はきっと、誠から離れたがっている。
俺が助けてやりたい。今度こそ、助けてやりたい。
俺も麻里と離れたい、という口実を作って共謀関係になってしまえば。契約という形で彼女を捕まえてしまえば。
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思ったより麻里は世間知らずで、ちょっと甘い笑顔を振り撒けば一瞬で落ちてくれた。
そこから出て来る、誠の裏の顔。
これで用意はできた。
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ーーーー…だから。
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慌てて乗り込んだエレベーター。
何階ですか？と聞かれてフロアを言って扉が閉まる。
ドクドクとうるさい心臓。
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でも人生、予想外なことが起こる。
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Aはイヤホンで何かを聞いてたらしく。でも何かの衝撃でイヤホンがぶちっと外れてスマホが床に勢いよく落ちる。
チャンスと拾ってやろうと屈み込めば
スマホから聞き慣れた、というか。
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“今度俺映画するの。ンフフ、見てね”
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俺の声。
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一瞬頭ん中が真っ白になった。え、俺？
と思っているうちに、Aは顔を真っ赤に染め上げて慌ててスマホを拾おうとするから。
先手必勝。
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和也『…どういたしまして？』
和也『今度、映画やるの。見てね？』
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ネタバラシ。ふわりと微笑めば彼女の顔はサァーーーッと青白くなって。
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『しっつれいしましたぁ！』
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勢いよく頭を下げて、エレベーターを出て行った。
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あとは偶然を装って、会う回数を増やしていく。
不自然さを思わせる。麻里との関係をばらす。
契約を、する。
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今度こそ。
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和也『俺が助けてあげよっか。』
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ーーー…今度こそ。
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和也『ね、Aちゃん』
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