147.君がいなくなった世界は君で溢れてる ページ12
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ご飯を食べて、そこらへんをブラブラして
じゃあまた今度！次の恋しようぜ！って香奈に元気を分けてもらって
すっかり暗くなった夜道を一人で歩く。
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「…あ。」
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ーーーー…やっぱり、カズは私から消えてはくれなかった。
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道を歩いていると、ふと目に入った看板。
そこには大きく嵐の新曲のジャケット写真が大きく飾られていて。
アイドルモードのカズが私の知らない顔でこちらを見て微笑んでいた。
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あの髪型、見たことある。
結構前に酔っ払って帰ってきた時と同じ髪型だ。ちょっと前髪がふわふわしてるやつ。
そう言えばあの夜も、無駄にドキドキさせられたっけ…。
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「……！」
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ダメだ。一人でぼんやりすると、カズを思い出す。ぶんぶん、と頭を振って
思い出なんかいらない、って涙を噛み締めてかつかつとアスファルトを蹴り飛ばす。
それでも神様は意地悪で
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「……」
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やっとの思いで家に帰ったのに。
テレビをつけたら嵐の木曜日のレギュラー番組がちょうど始まった時間帯だったらしく。
オープニングトークをしてるカズが画面に映ってゲラゲラ笑ってる。
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その衣装はかなり派手目なもので、かなり前に「今日さ〜番組で超派手な服着て」と笑って話してくれた服と同じもので
素早くテーブルに置いたリモコンを手にとって、電源ボタンを押す。
ゴン！と投げ捨てるように再び置いたリモコン。
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暗くなる、液晶画面。
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「っはー………ぁ」
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その液晶画面に映り込む、情けないぐらいひどい顔をした自分。
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息が苦しくなって、髪の毛を掻きむしってカズの家と比べると全然柔らかくないソファに倒れこむ。
こんなの、無理だ。
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バッ！と起き上がって、勢いよく大きいゴミ袋を取り出して広げて
そこに勢いのまま、ネイビーのドレスやハイヒールたちを投げ込んで行く。
それからぎゅ！と袋の口を縛って投げ棄てようと
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…投げ棄てようと
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「……っ、…〜〜〜〜〜っ」
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ぽとん…、とゴミ袋が落ちる。
声にならない声で私はその場にぺたん…、と座り込んだ。
座り込むしか、手立てがなかった。
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