118.Mistake ページ10
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【今日21時に仕事終わる。俺はフォアグラが食いたい。】
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21時30分。
私は仕事を終え、最早第二の部屋と化しているカズの部屋で頭を抱えていた。
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うめちゃん、と大野さんに呼ばれてスパーク寸前だった昼過ぎ。
そんな様子を見てまた大野さんは楽しそうに鼻歌を歌いながら帰って行って
カズ以外の人にうめちゃん、って呼ばれたの二人目だ……なんて呆然としていれば
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某ビルから会社に戻っている途中。
死の宣告とも思わしきラインが一通。
もちろん送り主はカズで。
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フォアグラが食いたい。という無理難題を押し付けられ
どうしよう、と考えても答えは出て来ずなんだかんだで結局20時。
もう作るに越したことはない！とカズの部屋に来たはいいものの作れるはずがないと諦めた21時。
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もうハンバーグで勘弁してくれ…って心の中で泣きながら落胆してる、現在21時30分。
もうそろそろ着いてもいい時間帯。
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はぁ…って溜息を吐きながら大きすぎる液晶テレビを見つめる。
すると「10年目！」って可愛らしい笑顔で缶ビールを掲げてるカズのCMが流れて心が癒される。
なんて面倒な人を好きになったんだろう。急にオトコになったかと思いきや、可愛いきゅるきゅるした瞳で見上げてくる。
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あんなのに勝てるわけがない。白旗をパタパタ私はずっと降ってる。
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ジューーー…とフライパンでいい具合にお肉が焼けて来た頃。
ばたん、と遠くから扉が開く音。
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「おかえ………」
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「り……」
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ほらずるい。
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和也「ただいま。フォアグラは？」
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なんでスーツで帰ってくるの。
なんで眼鏡をかけてるの。
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ばくばくと騒がしい胸を落ち着かせる。
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「フォアグラに関しては、そんな大それたもの作れません！そんなに食べたいんならちゃんとしたお店で食べて！」
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もう！って私の声は届かず。
カズは横切って、ジャケットを脱いでワイシャツとネクタイ姿になってソファにダイブ。
ああ、だからもうやめて。心臓に悪い。
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「もう、カズ、ジャケット脱ぎっぱなしはシワになるよ…」
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そう言ってジャケットを拾ったのが、いけなかった。
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