119.…すき？ ページ11
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急に背中に温かいものが覆い被さったな。って認識だった。
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「…か、かず？」
和也「…なんで今日大野さんにうめちゃんって呼ばれてたの？」
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それがカズが起き上がって、私を後ろから抱きすくめて来て
耳元で、まるで今すぐにでも噛み付くような近さと熱さで囁かれてるって認識した瞬間
私の脳は使い物にならなくなる。
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低い声が脳に直接響いて、クラクラする。
耳たぶを今にでも噛まれそうで身体がゾワっとする。
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誰か、たすけて。
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「それは、大野さんが勝手に…」
和也「A、こっち向いて」
「……」
和也「向けよ」
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誰か助けて。本当に助けて。
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恐る恐る、首を震わせながら後ろを振り向けばいつもと違ったカズの顔。
とろんとした瞳と、そんな瞳を縁取る眼鏡。
カズって視力悪かったっけ？スパーク寸前の頭が唯一考えられたことはこのどうでもいいことで。
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スーツ姿に、見慣れない眼鏡。
とろんとした瞳に、ダダ漏れの大人の色気に私はもうやられてしまって
ふっと視線をソファに向ける。カズから逸らす。
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すると、頭上からフッと鼻で笑う音。
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和也「…眼鏡、好きなんだ？」
「ひっ」
和也「全然目ぇ合わせないのね。こっち見て」
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顎に添えられたカズのまぁるい手。
眼鏡、好きですとも。すごくかっこいいです。めちゃくちゃカッコいいです。
白旗パタパタ降ってるから、認めるから助けて。
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クイ、と上げられた顔。
再び絡み合う視線。
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和也「…こんなんで俺のこと夢中にさせてくれんの？(笑)」
「…か、ず」
和也「可愛い顔しちゃって…」
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嘘つけ。
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カズの目が細くなって、少し顔を傾げたなと思ったら
ゆっくりと私の顔に近づいてくるカズの唇。
吐息が顔にかかって、眼鏡がカチャ、という音を奏でる。
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やだ、キスなんかしたら私はもう。
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うっ！って目をギュッとつむった瞬間。
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肩にごてん、と重いもの。
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「………ハ？」
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肩にはカズの顔。スースー…という寝息。
そして微かに香るアルコール。
…………クソ！
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