・・・・ ページ24
ナワーブside
朝から晩まで試合に引っ張り出される事、これで8回目である。
良い加減にしてくれ。1試合くらいはガチ試合を混ぜてくれたって良いだろう。
この試合が終わったら飯を食べて風呂に入って早く寝る。
ルーティンを淡々とこなすだけだ。
最後まで赤薔薇の杖を持ったリッパーに振り回されて、ゲート内に下ろされる。
自分の周りを飛び回っていた蝶もよろよろとしている。…お疲れ様。
【明瞭】という衣装を纏った俺は、特に目立った汚れも付いてないのに腕や膝をはたく。
「今日の飯なーにかなうおあっ！！」
パアンッ！
「ひんっ」
食堂のドアに手をかけた途端に、その手をむんずと掴まれて中に引き込まれる。
発砲音に目と耳を塞いでキラキラの紙とテープが舞う。
「本日の主役のお出ましだ！」
「ちょっと皆ナワーブのこと試合に連れて行きすぎ！疲れてるじゃん！」
「へ？…は？」
「忘れたかい？今日は君の大事な日だろう？…君にはバレていたかな」
あぁ。そうだったっけな。
試合の多さにウンザリしていて忘れていた。
ふと鼻をつく独特の香り。この香り、知ってる。
ソレは目の前に広がる大量の料理の中から漂っているようだった。
俺は積み上がっていた碗を1つ取って、鍋の中の料理を掬い入れる。
スプーンで掬って口に入れる。
「なぁ…これ誰が作った？」
「メディックさんよ。頭の中にレシピが入っていたんですって。あそこにある渦巻型のお菓子も彼にレシピを教えて貰って……って貴方涙出てるわよ！」
「美味しくて…」
「お前の大好きな肉料理もあるからな！確か芸者の国の〜」
「ほんとか！？！？」
「メディックならまだ厨房にいた気がするぞ。飲み物を作るとか何とかで」
「分かった」
何で涙が出た？美味かったから？皆が心を込めて料理を作って祝ってくれたから？
それらもあるけど違う。
何故。何故なんだ。
何故アイツが母さんの料理の味を再現できた？
母国や住んでいた地域が同じなのか？いや、家庭の味は人それぞれだから再現不可能なはずだ。
「ナワーブさん？大丈夫ですか？」
「あ、あぁ。ちょっと考え事。俺、厨房行ってくる」
「お気をつけて」
「礼言ってすぐ戻るわ。悪りぃな」
俺は碗をテーブルに置いて食堂の奥のドアを開けた。
_______________________________
『もうすぐ来る頃かな』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 192人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「第五人格」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白狐-bilyakko-(プロフ) - 。。みかんさん» 夢主と占い師の掛け合いに乞うご期待下さい…！おまけ編はちょっと探鉱チックな所もありますので！ (2020年10月25日 20時) (
レス) id: 0005778f87 (このIDを非表示/違反報告)
。。みかん - ３１日、、、推しが出るのか。よし、全裸正座待機をしなくては！← (2020年10月25日 20時) (レス) id: be1335f358 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃＆リィル2(プロフ) - トバリさん» そうなんですよねー、特にべったーの考察とかそうですね！青い鳥で見かけたツイートなんですけど、お仕事を貰うためにわざと若い年齢を言ってるんじゃないかという偽造説好きです^^ (2020年10月22日 17時) (レス) id: 04888e399e (このIDを非表示/違反報告)
トバリ - いつも楽しく拝見させていただいております！！傭兵は「ナワーブ・サベダー」自体が自身の階級という説もあるので、年齢と合わせて偽って記入されてる場合もありますね！ (2020年10月22日 17時) (レス) id: 12a0f93b04 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃＆リィル2(プロフ) - イヴさん» 作者は資料集を凝視したのでサイコロを振りました。見事にファンブルが出たので正気度が昨日の夜中から低下中です（′∇′ ） (2020年10月20日 18時) (レス) id: 04888e399e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白狐ーbilyakkoー | 作成日時：2020年6月2日 8時
