210 ページ43
ここは……どこだ？永眠町っぽいけど…。
先ほど聞いた説明によるなら、これは協力狩り。でもごっこ遊びってことはカスタム？
事前に打ち合わせがなされてるはずだ。
そして僕はいまいち地形が理解できていない。
どこに向かえばいいのか分からないが歩いてたらいつか着くだろ。
そういえば、あんなに足取りがおぼつかなかったのに今は一歩一歩しっかりと踏み出せる。
ジャンプもできるし走ったりもできる。勿論利き手も動いた。
未だ声は出ないか。
「あ、ラルいたなのー！」
西の方角から聞こえる声。
見れば左目に黒眼帯をしたエマさんが走ってくる所だった。
「ラル、迷っちゃったなの？エマが案内してあげるの！待ち合わせ場所は学校なの！」
こっちなの！と、手を引っ張られて目的地へと向かう。
そういや、プロポーズをするんだっけ。
どうやって相手に伝えたらいい……って、まず何を伝えるんだ？
僕と組んでくれますか的なことを言うんだろうか？
「連れてきたなの！エマと一緒にこっちに並ぶの！」
男性4人、女性が4人、ハンターが2人…あれ？同じ列に初めて見る人がいる。
煌びやかな衣装に身を包んだ女性は僕を見ると小さく会釈をした。
同性と組んでもいいのかな。良いなら真っ先に彼女を選ぼう。
「よーっし、じゃあこれからドロドロ平和片思い戦を始めるよー！」
破輪が火蓋を切ったその瞬間、僕はイソップに手を取られた。
「貴方の声を取り戻すのと一緒に僕とペアを組んでいただけませんか？」
おーっと？これにはどう答えたら良いんだ？
あまりの速さに僕等以外の動きが止まってる。
僕の狙いはあの方だったんだけど、まぁ、いいか。
〔喜んで〕
そう書いた紙を見せる。
そして彼は何故か僕の耳を塞いだ。
「＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿」
何も聞こえない。
ただ口端が少し上がるのを隅に捉えた。
「では行きましょう」
取られる手を自然と握り返した。
「貴女と組めて僕、とっても嬉しいです」
「最初から貴女狙いだったんです」
「迷宮の中で僕と踊りましょう？」
やっと自分が窮地に立たされている事を知る。
饒舌になり始めた彼をおかしいと判断する時間はあったはずだ。
「どうして逃げようとするんですか？」
棺を召喚して化粧箱から筆を取り出した彼が言う。
前後を塞がれてもう逃げられない。
「さぁ、貴女を納棺させて下さい」
妖艶に微笑むその顔に鳴った首の音。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 122人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白狐-bilyakko-(プロフ) - リパ推しの雪さん» ありがとうございます！(*´`)更新頑張ります！！ (2021年3月1日 9時) (
レス) id: 6701540cff (このIDを非表示/違反報告)
リパ推しの雪 - すごい素敵な作品ですね！更新頑張ってください！応援してます！ (2021年3月1日 5時) (レス) id: e92c1b8c9b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白狐ーbilyakkoー | 作成日時：2021年2月27日 1時
