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イソップside

中庭の木の下に彼女がいた。
先程そばにいた探偵姿の彼はもういない。

今度こそ誰もいないよなと周りをキョロキョロとしてから静かに近づいた。


「おはようございます」


彼女がそっと顔をあげる。僕はその場にしゃがんだ。


「人数が足りないので一緒に試合に出てくれませんか?」


人数は十分に足りてる。ちっぽけな嘘なら許してくれるだろうか。


〔足は上手く動かせないし、腕も動かない。声も出ないので皆さんと連携が取れずに迷惑をかけてしまいます〕

「試合に出たら治るかもしれません。
いえ、僕が治します」


納棺する口述を作った。


〔希望の光が差し込む事を祈りましょう。
是非、お願いします〕

許可が下りた。黄薔薇で棺を埋め尽くしてその中に彼女を納棺しよう。
うん、そうしよう。


「じゃあまずは着替えましょうか。
流石に人の衣装では出れないでしょうし……って、歩けないんでしたっけ?」


彼女は頷く。

僕は少し失礼します、と言って彼女の腰下に手を入れそのまま抱き上げた。


「あの、軽すぎませんか」

〔ちゃんと食べてます。それより、今日の貴方はいつもと違いますね〕

「どう違って見えますか?」

〔どこかの国の王子様って感じがします〕

「実際そういうモチーフらしいです。これは演繹の星に輝いた記念として貰ったんです」


まだ試合までには時間がある。
着替えさせる時間ぐらいはあるだろう。







〔じゃあすぐに着替えるので外で待ってて下さい〕

「はい」


治すって言うくらいならあのストライプ柄の衣装を着てくれば良かったか。
いやでもあの衣装着ると精神状態が不安定になるんですよね……。

もっと最悪なのは催眠医師という衣装を着たジョゼフさんに見つかること。
患者だから隔離しようとする彼の人格と自分は医師だと言い張る僕の人格が混じり合うから苦手なのだ。


「はぁ……」


溜息をついているところに肩を叩かれて身ごと一緒に跳ね上がる。


〔そんな驚くとは思ってませんでした〕

「いや、僕が悪いので、えっと、行きましょうか」


何の悪びれもなく答える彼女。


「ドロ平ってやったことありますか?」

〔ドロ平?〕

「一言で言えば恋愛ごっこですね。双陣営、プロポーズから始まってペアを組みます。その時にハンターに殺される可能性もあります。普通の片思い戦と違うのは攻撃,スタン,吊り,浮気がアリってところでしょうか」


ま、僕は貴方が他の方にアピールするのを許しませんけどね。

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白狐-bilyakko-(プロフ) - リパ推しの雪さん» ありがとうございます!(*´`)更新頑張ります!! (2021年3月1日 9時) (レス) id: 6701540cff (このIDを非表示/違反報告)
リパ推しの雪 - すごい素敵な作品ですね!更新頑張ってください!応援してます! (2021年3月1日 5時) (レス) id: e92c1b8c9b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白狐ーbilyakkoー | 作成日時:2021年2月27日 1時

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