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イソップside
「おはようございます……」
「やあイソップ」
「今日も一日頑張りましょうね」
寝ぼけ眼で食堂の扉を開けた僕に仲間達が声をかけてくる。
本音を言えば自室で摂りたいところなのだが、ここに来てすぐくらいの時に女性方に一言二言言われて渋々実行することに。
「はぁ……」
「ようイソップ！」
「驚かさないで下さい」
「なんかよー、ナワーブの衣装がバグっちまったみたいで……ほら、あそこにいるだろ？」
全く人の話を聞かない人だと思えば、長机の方を親指で指さすので少し背伸びをしてみる。
深緑色の服を着た、その横にいる見知った男と似た体格の人物が目に入った。
生憎こちらに背を向けている為に顔は見えない。
「見る必要もないか」
「なんか言ったか？」
「別に」
エリスさんと別れてその男より少し離れた場所に腰を落ち着ける。
腕が使えないのかナワーブさん、本物の彼に看病される形で食事をしている。
「……筆談？」
「おやアンタも気が付いたかい。あの深緑の男は口がきけないみたいなんだ」
「朝からお酒ですか？」
「酒豪と言われる私だがそこまでしないよ。それより私はあの男がどうにも引っかかるのさ」
話を聞きながら、昨日色々と危険な状態に陥っていた彼女のことを思い出していた。
差し出した水も引き止める声も拒否された。
心身共にズタボロだった彼女は狂った笑顔でハンターの攻撃を掻い潜る。
観戦室で1人、様子を見守っていたが試合数が10を越えた辺りで自分も心が痛くなったので部屋へ戻った。
彼女は今頃医務室にいるのだろうか。
時間があれば様子を見に行こうか。
「今日は俺の部屋で安静にしてろ。その状態じゃ試合の通達は来ないだろ」
深緑じゃない方のナワーブさんが席を立って扉の方に向かい、何故かは分からないが手を横にバッと広げた。
周囲が不可解に思う中、それを見たもう1人の彼がよたよたとおぼつかない足取りで歩いて行った。
「捕まえた」
僕等に顔を向ける方の彼が一方を抱きしめたところで、背を向けた方の彼のフードが外れた。
揃いも揃ってそっくりな顔立ちに小さく纏められた茶髪。
目を細めて笑うその顔の隣に僕は一生立ち続ける事が出来ないのを教えてくれる。
〔今日はずっと僕のそばにいて下さい〕
「書かれなくてもそうするつもりだ」
ゆっくりとその場を後にする2人。
嗚呼。
「この手で納棺してやらなくては」
誰にも聞こえない声でそう呟いた。
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白狐-bilyakko-(プロフ) - リパ推しの雪さん» ありがとうございます！(*´`)更新頑張ります！！ (2021年3月1日 9時) (
レス) id: 6701540cff (このIDを非表示/違反報告)
リパ推しの雪 - すごい素敵な作品ですね！更新頑張ってください！応援してます！ (2021年3月1日 5時) (レス) id: e92c1b8c9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白狐ーbilyakkoー | 作成日時：2021年2月27日 1時
