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〔自分でやれますから〕
そう書き殴った紙をん！と押し付ける。
「無理だろ。利き手は使えない、片方は慣れてない。今の行為見てりゃ一目瞭然だ」
口こじ開けられて無理矢理食わせられるのは嫌だろ？という言葉に頷く。
僕は小さく口を開けてスープを中に入れた。
ゴクッと飲み込んだ際に盛大に咽せる。
「大丈夫か！？」
〔熱くて……〕
「子供か」
〔貴方の前では子供でいてはダメですか？〕
彼の顔がぼぼぼぼっと赤く染まっていく。
「そ、そうやってすぐ人を堕とすような事を簡単に言うんじゃない」
〔そんなつもりはなかったんです。ごめんなさい〕
「まぁ悪気が無いならしょうがないよな。ほら、飯冷めるぞ」
〔貴方は食べないんですか？〕
「俺はいつでもいい。まずはお前が先」
またこれも懐かしい。
戦場で初めて会ったあの日。その時貴方は左腕を骨折していた。
あの時は自分が彼に同じ事をしていたっけ。
〔4年前を覚えてますか？〕
「4年前？何かあったか？」
〔貴方も今の僕みたいに〕
「あー…あれな？覚えてるわ。でもあん時、24の伍長だって言ってなかったか。計算が合わない」
〔軍に入るのに2年分年齢を偽っていたせいですね。当時は22の伍長でした〕
「いやその歳でその階級は……って事はお前、相当優秀だったな？」
〔その言葉、久しぶりに言われたので懐かしいです〕
でも、貴方に言われるのがもっと嬉しい。
口にも出せない、紙にも書けないその言葉を彼の空いた手を包む事によって伝える。
伝わってればいいけどねって話。
「本当細くてちっさいのな。戦場では指先までは鍛えられなかったか？」
〔貴方がいつか僕の手を握ってくれるって信じてたから〕
その時に姿形が変わってたら嫌でしょ？と笑いかける。
「じゃあお前が拒否するまで握り続けてやるよ」
〔事前に許可取ってからにして下さいね〕
「それじゃ意味ねーだろ」
〔いきなり触られたらびっくりしちゃうので〕
特に男性には。
きっと相手が貴方であっても。
貴方が嫌いなわけじゃないんだ。
それだけはわかってほしい。
僕、これでも努力してる方なんだ。
貴方の目に映れるように。映してもらえるように。
勘違いにも程があるって？
そうかもね。
いつかこれが無駄な努力だって気づく日は来るのかな。
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白狐-bilyakko-(プロフ) - リパ推しの雪さん» ありがとうございます！(*´`)更新頑張ります！！ (2021年3月1日 9時) (
レス) id: 6701540cff (このIDを非表示/違反報告)
リパ推しの雪 - すごい素敵な作品ですね！更新頑張ってください！応援してます！ (2021年3月1日 5時) (レス) id: e92c1b8c9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白狐ーbilyakkoー | 作成日時：2021年2月27日 1時
