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「ま、まさかお前が姫抱きにされて入ってくるとは誰も思わねーだろ」
「あんな女性この荘園にいた？」
「君は鈍感だなぁ。どう見たってラルだろう？」
「嘘でしょ？？」
爆笑の渦に巻き込まれて当分戻ってこないであろうナワーブと黙々とパンを口に運ぶイソップ、呆れたように自分を見るイライと壁に背を向けて背筋をぴんと伸ばす女性を見つめる。
「見てるのが幻覚だと信じたい」
「起きて下さい。女性方が貴方の元に彼女を向かわせたようです。
朝から凄かったんですよ？2時間みっちりと教え込まれる礼儀作法……」
「お前は何でそんなに詳しいんだよ」
「メイク監修者としてその場にいましたので」
仲間の言葉を聞き流せば自然と手は止まる。
“今日一日貴方の傍に仕えさせて頂きます”
なんだそれ。しかも僕の事をご主人様と呼んだ。
普段なら絶対にしないというか、あんな衣装すら着ることを拒むような人だというのに。
役になりきりすぎじゃない？
「僕がご主人様なら命令出来るよね？」
「えげつなさそう」
酷いな。
僕は手招きして彼女を呼んだ。
『お呼びでしょうか』
「召使いなら命令が聞けるはずだ。僕の隣『既に済ませていますのでそれは出来ません』
「……笑いすぎて気管詰まった」
「水いるかい？」
『ただでさえ身分が違うというのに、それを覆そうとするその精神を尊敬します』
「軽く馬鹿にされてますよ」
むっと眉を寄せて顔をしかめてみせたり、ふてくされた面をしてみても彼女には通用しないようだ。
一切の笑みを見せぬその姿は無機質な人形を彷彿とさせる。
いや、元からそんなに笑わないけど。
「何？今日なんかのイベントなの？」
「後々分かるだろうな。ったく、自分のことだろっ」
「あ……誕生日か、今日」
そんなに賑やかに祝われたい気分じゃないな。
大人数に祝ってもらった事が少なくて新鮮味を感じるのだろうけど、なんか心の中がもやっとするというか。
「ちょっと今日は1人にしてくれるかな」
「え、もう君の誕生パーティーの準備入っちゃってるらしいんだけど」
「今日1日だけですよ？」
『お食事はお済みですか？……今日のスケジュールをお伝えしますね』
食器を片した僕に手帳を開いて口を開こうとする彼女を制す。
「それぐらい自分で分かってるから」
『では出掛けられている間の掃除を』
「いいってば」
冷たい態度をとった事に気付いても、そこには都合の良いスマイルがあるだけで。
・・・ ※少々背後注意→←ノートン・キャンベル 誕生日2021【番外編】
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白狐-bilyakko-(プロフ) - リパ推しの雪さん» ありがとうございます！(*´`)更新頑張ります！！ (2021年3月1日 9時) (
レス) id: 6701540cff (このIDを非表示/違反報告)
リパ推しの雪 - すごい素敵な作品ですね！更新頑張ってください！応援してます！ (2021年3月1日 5時) (レス) id: e92c1b8c9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白狐ーbilyakkoー | 作成日時：2021年2月27日 1時
