193 ページ26
「起きて。起きてったら。……起きなきゃ君のほっぺたにキスしちゃうよ」
『起きまs……誰』
「初見の第一声がそれかい？いや、初見ではないね。彼はそうだけど私はそうじゃない」
肩を揺すられて目を開ければ、全体的に青紫がかった人が腕組みをして立っていた。
皮膚もそう。頭に生えた大きな角も。
無数の星を周りに散りばめたその人は僕の手を取って立ち上がらせた。
「私はアズラーイール。写真家の衣装の1つだけど混同してしまうからアズって呼んで欲しいな。
君の事はよく知っているよ」
『えっと、ここはどこですか？』
「君の夢の中。イドーラが君を呼んでいたからね。勝手に繋げさせてもらったよ」
『もっと簡潔にお願いします』
「とにかくイドーラが……というか彼女のオリジナルが呼んでる。全く人遣いの荒い人だよ」
前言撤回、あれは人じゃない。と顔をしかめたアズに彼女がどんなものなのかを聞いてみる。
上半身が人間、下半身が蛇という聞いただけじゃよくは想像できない姿なのだと。
一言で言って神。疑問点は夢から覚める前に全て聞いた方がいいと。
『一言の存在感が強すぎませんかね』
「本当にそうなんだから文句は本人に言って」
『あと何故勝手に繋げられてるんですか？』
「あの子に聞いた方が早いよ」
前からぱたぱたと足音響かせた黒髪の少女が走ってきた。
少女は僕達の目の前で止まるとばっと顔を上げた。
「ラル、連れてきてクれタ？」
「横にいるのがそうだよ」
「小さイ女ノコのホウ。男ノコ違ウ」
『僕がラルです。……あー、理解しました。多分小さい僕が何らかの約束を貴女と交わしたのでしょう。しかし僕は記憶が共有されてないので知らないんです』
「ンン？」
「イドーラに確認しておいで。にしても記憶が共有されてないって結構致命的だね？」
『前は違ったんですけどね』
肩を落として呆れたような顔をする僕の横で、彼は大事そうに抱え持つ本をパラパラとめくっていた。
分厚くて片面だけでも文字がびっしりと書き込まれている。
目を凝らしても何が書いてあるのかまではよく分からない。
何が書いてあるのかと問う前に、ぐいぐいと腕が引っ張られた。
「魔女様が来てッテ」
「じゃあここでお別れだ。少なくとも言動には気をつけるんだよ」
気まぐれで存在ごと消されるかもしれないからねと残し、星と共に姿を消してしまった。
謎が深すぎる人だったな……。
『では案内をお願いできますか？』
「任せテ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 122人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「第五人格」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白狐-bilyakko-(プロフ) - リパ推しの雪さん» ありがとうございます！(*´`)更新頑張ります！！ (2021年3月1日 9時) (
レス) id: 6701540cff (このIDを非表示/違反報告)
リパ推しの雪 - すごい素敵な作品ですね！更新頑張ってください！応援してます！ (2021年3月1日 5時) (レス) id: e92c1b8c9b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白狐ーbilyakkoー | 作成日時：2021年2月27日 1時
