あの傭兵に妹がいたようで【第五人格】 (ページ6)

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『命をかけたデスゲーム？』

「サバイバー4人対ハンター1人で行われるんだよ」

お兄ちゃんの部屋から出て会場に戻ってきた僕にイライさんがそんな説明をする。

「まぁ、荘園に戻って来ればゲームで受けた傷は余程の事が無い限り全て治るんだ。
だから、怪我についてはあまり心配しなくても結構だよ」

ゲームでは５つの暗号機と呼ばれる物を解読して脱出するだけらしい。
その途中でハンターが妨害してくるから、仲間を気遣いながら完全勝利を目指せ！という様な内容。

それなら簡単じゃないか。聞く限り軍の訓練より容易い。

「そういえば先程から気になっていたのだけれど……それは何だい？」

と、イライさんが僕の腰辺りをじっと見て言う。
僕は腰にぶら下がっていた物を外し、カラカラッと鳴らして彼の眼前に置いた。

『毒ガスです。催涙式スプレー型、人体に害はありませんが30～40分効果が持続した後、元の状態に戻るのに数時間かかります』

まともに受ければの話ですが。と言うと彼は大きく身を引いた。
怖がらせすぎてしまったかな？

まぁ事実なのだからしょうがない。

『貴方の使い鳥も大変愛らしい』

「ほ」

梟は褒められたのが嬉しかったのか自身の肩に乗ってきて、軽く鼻を甘噛みした。

「君の事を好いている様だ。…………嫉妬してしまうね」

『はて、それはどちらに？』

「さぁ、どちらだろうね？」

『ご冗談がお好きな様で』

そう言ってほくそ笑むと彼も同じように口角を上げる。
悪事を働いて叱られても反省しない子供のように。

「君、月は好き？」

『ええ……何故そのような事を？』

「賑やか過ぎるのも毒になる。少し外に出て熱を冷まさないかい？」

イライさんが手を僕の方に差し出した。これが乙女心満載の初心な少女であったなら、胸をときめかせるのだろう。
でも僕はその手を黙って握った。

何故ならそんな感情はとうの昔に置いてきてしまったから。

月光が彼の衣装を更に白く染める。

その姿は湖のほとりに住まう女神のよう。

今夜の主役は僕ではなく貴方では？

そう錯覚してしまうほどに美しかったのだ。

月と星が光り輝く夜の世界へ、僕達2人は闇を切り裂く梟のように飛び出した。

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※外在特質を少し変更させて頂きました(パーセンテージの値です)
催涙スプレーおそろしや……

いつも読んで頂きありがとうございます。
主人公のイメ画を密かに募集中です………