あの傭兵に妹がいたようで【第五人格】 (ページ47)

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「君は名前を教えてくれないの？」

『は？』

初めてかもしれない。こんなにもド直球で返されたの。

「メディック…って最初言われたけどなんでそんな頑ななのかなって思って」

『それが今回僕がここにいる理由だって分かってて言ってるんですか？』

「えっ？」

『知らされていないんですね』

私は知らないうちに彼の傷を抉っていたらしい。

『名前というか愛称に近い物なら2つ。メディックも職業名ではありますが』

「どんなものだい？」

『1つ目に女神、2つ目が毒蛇です』

1つ目に関しては何処を見てそう呼んでいたんでしょうね。と言う。

「そういうところじゃないかな。え、えーと振る舞いとか言葉遣いとか！」

『……』

「う、上手く伝えられなくてごめんよ…」

『貴方のそういうところ嫌いじゃないです』

［イライのそういうところ好きよ？陰で努力してるところ］

「ゲキウ…？」

『何か言いました？』

何故か彼女と彼が重なる。
共通点なんて何処にも無いはずなのに。

「毒蛇ってかっこいいね」

わざと話題を逸らす。

『いつの間にか呼ばれていました。最前線に立って毒を撒いていたからでしょう。
後衛にいるべきなのに』

「それで呼んでは駄目かい？」

『どちらも裏で呼ばれていたものです。メディックの方がしっくりと来ます』

「そっか…」

『貴方をプリンセスと呼んでも良いのならですが』

「……」

それは嫌だ。何処を見て呼ぼうとしてるんだ。

『ふふっ』

「今笑ったね？」

『いえ』

「いーや、笑っt『笑ってません』…………はい」

『貴方は何で目隠しをしているんですか？』

「少し特殊な事情があってね…でも君になら良いかな」

『綺麗なんでしょうね』

「見るかい？」

『いえ、いつか僕が自分の正体を皆さんに明かした時で良いです』

そんな時が来ればの話ですがなんて言う彼。
いつか彼の全貌を知れるのか。

「今から楽しみだね」

『可笑しな人』

その後、幸運児君、ピアソンさん、パトリシアさんが試合時間だと呼びに来た。

「お、お前、アイツと仲良さげだな！」

「彼は話すんですか？」

「うん。よく笑う人だよ」

3人は私を信じられないといった顔をして見た。

かくいう自分も最初は信じられなかったんだけどね。