あの傭兵に妹がいたようで【第五人格】 (ページ34)

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写真家は何故突然に聞き出そうとしてきた？
動機は？何が目的だ？
僕を元いた軍に引き渡すつもりか？もうあそこには戻りたくないね。

「リッパーから君の愛称を聞いてね。
資料にも載っていない名前をその口から聞き出してやろうって気持ちになってさ」

誰よりも先に聞けるんだ。その為には後ろの彼が邪魔なんだよ。
と写真家は言う。

「というわけだから、イソップ君、早急に出てくれる？」

僕としても早急に出て欲しい。
彼に聞かれると面倒だからというのと単に_____

「僕が、はいと言うとでも！？」

後ろの彼がどでかい声を出す。
それは一体何処から出てきたんだ…耳痛い…

「じゃあ手段を変えようか」

『彼に手は出すな、もﾞ…やﾞめﾞッ… あﾞあﾞあﾞあﾞあﾞあﾞ！！』

彼に当たるか当たらないかの所まで剣が刺さる。
かひゅっと情けない音が喉から出る。

これは貫通したな…

「なんでそんなに名前を教える事に躊躇うの？ぱっと言って終わりだよ？」

「貴方には、彼の、苦労など、知らないでしょう…」

「いい加減煩いからもう荘園戻っていいよ」

「なっ…いや、だ、やめて…！」

血に染まった目を開ければ彼は椅子に縛り付けられていた。
抵抗も虚しく空へと消えていく。

無線機に手を伸ばすも写真家によって、がしゃんと遠くへ蹴り飛ばされた。

「投降なんてさせないよ。…苦しいよね？苦しいだろう？
名前を言えば楽にしてあげるよってさっきから言ってるよね？」

『……』

「同じく聞いた事なんだけど、傭兵君に対して執着したそうじゃないか。
まさかとは思うけど恋人だったりするの？もしくは血縁関係？」

【血縁関係】。その単語に肩が跳ねた。

「……なんとか言ったらどうなの？」

根元までずぶりと剣が押し込まれる。
倒れる事が出来ない。

「君って泣かないんだねぇ…いや、泣けないのかな？」

『だれ、か』

「ここには私達以外誰もいないよ」

あぁ情けない。助けを求めるなど軍人の恥であるというのに。

壁にもたれかかるも剣が突っかかって座れない。

ここで意識を手放したなら僕は死んでしまう？

何故こうなった？
普通に試合に出て普通に解読して普通に救助して普通に____

何故照準は僕に向いた？
何故ここまでして僕を追い詰めた？

今日は眠れなくなりそうだ。

僕に銃口を向けられたあの人もあの人もあの人もあの人も。

こんな気持ちだったんだろうか。