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ナワーブside
[おにーちゃん!おーきーてぇ!]
「眠いんだよ…今日ぐらい…ゆっくりさせてくれ…」
[あそんでくれるっていったじゃぁん!…もうしらない!きらい!]
「分かったよ…少しだけな…」
目を開けて顔を上げる。
「あれ?ラル?何処行ったんだ?」
ラルの声が聞こえた辺りに顔を向ける。
勿論そこには誰もいなくて、見慣れたテーブルと椅子、書棚があるだけ。
「夢…か?随分とリアルだったな」
ぽつんと1人、放った言葉が反響する。
メディックはいつの間にかいなくなっていた。
その代わりアイツのいた席に1冊の本が置かれていた。
「これは…サバイバー資料か?」
普通なら図書室にある物。
アイツがわざわざ借りてきてここに置いていったのだろうか。
良い機会だ。アイツの特質の謎を解こうじゃないか。
本の中には荘園旧友の医師からメディックの前に来た囚人まで。
計27+1名の資料が綴じられている。
「なになに… 仲間の傷を一度だけ肩代わりできるぅ?状態がそのまま反映されるのか…」
だから俺は無傷脱出だったのか。
俺を出したアイツはどんな顔してたんだろ。
他にも色んな事が書いてあった。
負傷すると板窓を乗り越えられなくなったり、毒ガスの範囲内に俺等がいると影響を受けたり。
チェイスと救助には向いてない、解読型だ。
ふと、ページの黒塗りの部分に目が行く。
本来ならば名前や性別、噂が書かれているところ。
元は書かれていたんだろうな。そこだけくしゃっとしてる。
『目ぇ痛え…本とか読み慣れてねーから…』
ぽつり。
そんな独り言がまた、空気に吸い込まれる。
ずっと座っているのも疲れたので伸びをして立ち上がり、鏡の前に行った。
「うっわ……久々に人前で泣いたな…」
目の周りが赤い。瞳も。こんなんで皆の前になんか出れやしない。
途中でトイレに立ち寄って顔を洗った。
今日の試合仲間は誰だったかなぁと考えながら図書室へと歩を進める。
目的地に着いて、ハンター資料の隣に持っていた本を差し込む。
「ここってこんなに本があったんだな…俺にも読めるもんあるかな」
書棚の間を歩く。帰ってこれなくなりそうだ。
キラリと視界の端で何かが光る。
吸い込まれるようにしてソレに手を伸ばす。
子供向けの本…ここには子供のハンターもいるから置いてあるんだろう。
1つ捲る。
懐かしい内容に昔が思い出される。
洗い流したはずの涙が一粒、零れ落ちた。
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瑠璃&リィル2(プロフ) - 白兎さん» よ、呼んだ……?ありがとうございます??← (2020年10月12日 20時) (レス) id: abf8076506 (このIDを非表示/違反報告)
白兎 - 呼んだ証に! (2020年10月12日 20時) (レス) id: 46d9c3b1f4 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃&リィル2(プロフ) - クロユリ(スマホ)さん» ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙嬉しいでず…………!! (2020年10月12日 20時) (レス) id: abf8076506 (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ(スマホ)(プロフ) - 瑠璃&リィル2さん» コトリちゃんが相方ですー!ほんとに頑張って読みきります!! (2020年10月12日 19時) (レス) id: f561713a15 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃&リィル2(プロフ) - クロユリ(スマホ)さん» 相方…コトリさんですかね?惹かれるだなんて言葉、ありがとうございます!創作意欲が湧いてきたぞー!! (2020年10月12日 19時) (レス) id: 04888e399e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白狐ーbilyakkoー | 作成日時:2020年4月13日 15時