あの傭兵に妹がいたようで【第五人格】 (ページ24)

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なーにがお世辞が上手な事でだ！
素直になれよ僕！

彼はあの化け物から助けてくれたというのに銃を向けてしまった…
本当、悪い癖だよなぁ…

イライさんから引ったくっ…貰ったノートを捲ってみる。

〔言葉より文章の方が良いかなと思ってしまった僕を許してくれ
君とは仲間という関係を越えて友達になりたいんだ良かったら…〕

もう普通に話せてる時点で友達だと思うんですが。
交換日記意味無くしてますよ。

『友達か…』

［せーんぱい！俺達は相棒の枠越えて友達っすよね！？］

［え…］

［歳なんて関係ないっすよ！もしや相棒すらじゃなかったんすか…？］

［だぁぁ！めそめそすんな！男だろ！友達に決まってんだろ！？］

［いいか。俺等はダチだ］

［はぁ…］

［歳なんざ関係無い。俺がダチと言ったらダチなんだよ］

［分かりました…］

相棒の枠を越えた仲ねぇ…。元気かな皆。

適当に返事を書いて談話室の机に突っ伏す。

パコーンッ

頭上で不思議な音がする。

パコーンッ

スリッパで叩かれる時のような音。

『何ですかあっち行って下さ……』

「これお前のだろ？イライから手渡されてよ。お前がここ入ってくのが見えたから…」

目の前でぷらぷらと揺れるガスマスク。
彼の手から受け取る。彼は真正面に座る。……何故。

「お前何処の軍に所属してたんだ？」

『XX国のXXX軍です』

「あ、俺が入ってた軍もそこと対峙した事ある」

そりゃそうだ。
貴方を捕虜として捕らえた後木っ端微塵にした軍なのだから。
爆弾仕掛けて毒ガスばら撒いて肉片が飛び散って雨みたいに降り注いで敵兵の顔がぱんぱんに膨らんで泡吹いて…

それを冷めた目で見下ろして面白がっていたっけ。
貴方の相棒の血塗れになった肘当てを貴方に投げてよこしたっけ。

「俺、兄妹がいるって話したっけ？」

『…初耳です』

「俺さー、10も離れた妹がいるんだよなー」

そう放つ彼の言葉で現実に引き戻される。

『という事は…今26なんですかね。ここに来るまでに一度会えましたか？』

「いいや。俺勝負してんだよ」

『勝負？』

「そ。ある衛生兵と約束してな、どっちが先に兄妹と会えるか勝負な！って」

『その方も兄妹がいるんですね』

「歳の離れた兄が1人だって言ってたな…」

『会える事を心から願っています』

何も知らない。無知な少女のふりをするのは決して容易い事では無い。

私の顔も、瞳も表情も。

何も映っていないのでしょう？