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「ハスター様の深淵に入っていいのはこの私めだけです!!」
ドガァンと音がする程にドアを…開けられなかったので左右の扉を開くのに数分かかった。
ハンターとサバイバーの屋敷とでは物の強度が大幅に違う。
彼はハスター様の触手に巻き付かれあとちょっとで深淵の中に頭が入る所だった。
「おや、占い師君じゃないですか。もう彼は手遅れですよ」
『イ、ライ、さ…』
「くっ…もう少し早く来ていれば…こんな、筈では…」
「そんな茶番いいから早く助けてあげなよ」
写真家の言い草にむすっとしながらも、ハスター様の御足元に跪く。
「ハスター様、その者はまだ息があります。いつも言っていますでしょう…」
「何のことだイライよ」
「深淵耐性のある私以外は入れないで下さい!しかも目覚まし時計代わりなんて…羨ましいにも程があります!!」
「ふむ…次は無いぞ、人の仔よ」
ハスター様が目を反三日月型にして、自分の腕の中に彼を押し込んだ。
「えっ、ハスター様…?」
「早く連れて帰るがいい。立ち去れ」
ハスター様の反応がいつもより増して冷たい。
メディックさんを抱えながらそう思った。
「朝早くから失礼しました…では私はこれで…」
一礼をして部屋から退出した。
「何故我が王はあのような反応を…。とにかくメディッk((「占い師さーん」
彼を抱えたまま振り向けば、先程同室にいた謝必安さんが駆けてくる所だった。
「先程はすみません…同室にいたのに何も出来なくて…」
「いえいえ…ハスター様に何かあったんですか?いつもと反応が違ったので…」
「いつもと変わらないように見えましたが…。あ、でも…」
何か思い当たる節があるらしい。
「今朝、リッパーさんが躓いてワインをハスターさんの衣装に零してたのでそのせいかもしれませんね」
「そうですか…わざわざありがとうございます」
「いえ。じゃあ私はこれで」
だからさっき衣装が違ったのか。
謝必安さんにお礼を言い、来た道を戻る。
進むにつれて賑やかさが増す。
このまま行ったらマズイのでは。
そう考えた僕はそっと階段を登り、自室に駆け込み彼をソファーに下ろした。
「………………………」
マスクをテーブルに置き、気を失ったままの彼を椅子に座って見つめる。
僕は彼を運んで来ただけだ。何もやましいことなんかしちゃいない。
何故だろう。
何故僕はとてつもない罪悪感に襲われているのだろうか。
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瑠璃&リィル2(プロフ) - 白兎さん» よ、呼んだ……?ありがとうございます??← (2020年10月12日 20時) (レス) id: abf8076506 (このIDを非表示/違反報告)
白兎 - 呼んだ証に! (2020年10月12日 20時) (レス) id: 46d9c3b1f4 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃&リィル2(プロフ) - クロユリ(スマホ)さん» ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙嬉しいでず…………!! (2020年10月12日 20時) (レス) id: abf8076506 (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ(スマホ)(プロフ) - 瑠璃&リィル2さん» コトリちゃんが相方ですー!ほんとに頑張って読みきります!! (2020年10月12日 19時) (レス) id: f561713a15 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃&リィル2(プロフ) - クロユリ(スマホ)さん» 相方…コトリさんですかね?惹かれるだなんて言葉、ありがとうございます!創作意欲が湧いてきたぞー!! (2020年10月12日 19時) (レス) id: 04888e399e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白狐ーbilyakkoー | 作成日時:2020年4月13日 15時