無防備なランジェリー…Keito ページ14
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Jun.2017
｢うわぁ…ミスった｣
大所帯の我がグループに宛てがわれた、広々とした楽屋の中。
部屋の隅っこでリュックを広げる俺の呟きは、隣でカメラを弄っていた裕翔だけが拾ってくれた。
中島｢ん？何、どした｣
｢家の鍵、忘れてきた｣
今日はこの仕事の前に雑誌の撮影も入っていたから、Aより早く家を出た。
もちろん家を出る時は鍵なんて必要ないし、お気に入りのキーリングの音が聞こえないと思ったら、案の定だ。
中島｢Aちゃん、今日遅いの？｣
｢…たぶん｣
彼女は夜にラジオが入っていると、昨夜言っていた。
俺はこの収録で終わりだから、きっとAのほうが遅くなるに違いない。
中島｢じゃあ、借りればいーじゃん｣
くい、と裕翔が長い親指で差した先は、隣の楽屋に面した白い壁。
そこからは錦戸くんの歌声や、よくわかんない丸山くんの叫び声、それに大倉くんの高笑いが重なって聞こえてくる。
｢…ん、そうする｣
中島｢あ、じゃあ俺も行くわ！大倉くんにドラムの話あんの｣
そう言って立ち上がった長身のモデルボーイは、端正な顔でにこにこ笑って手を引き、少し不機嫌な俺を立ち上がらせた。
中島｢共演、嫌なの？｣
｢嫌っていうか…｣
今日は、プロポーズをしてから初めてのグループ共演。
毎度お馴染みの生放送の音楽番組で、同時期にアルバムとシングルを発売した俺たちは、それぞれPRの為に楽曲を披露する。
中島｢まぁ、あのテンションはねぇ…(笑)｣
｢でしょ？変なこといっぱい聞いてくるんだもん…｣
よくぞ分かってくれた、裕翔！
そう、それなんだよ。
共演自体は何も害は無いし、事務所の方針なんだから拒否する権利だって無い。
でも、俺が彼女のグループに挨拶に行けば、決まって全員でプライベートを根掘り葉掘り聞いてくる。
…そりゃあもう、掘りすぎてマントルまで到達しちゃうんじゃないかってくらい。
中島｢まあ、どっちみち挨拶行くんだし。
先にちゃちゃっと済ませてこよーぜ｣
｢うん…裕翔、ずっとそばにいてよ｣
中島｢それ、可愛い女の子に言われたいわ(笑)｣
Tシャツの上にさらりと羽織った、裕翔のパーカーの裾をきゅっと握り、俺は重たい気分を拭えないまま、彼の後に続いて楽屋の扉をすり抜けた。
中島｢すご、エイトさんの楽屋めっちゃうるさいじゃん｣
｢JUMPもそんな変わんないでしょ(笑)｣
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作者名：布由 | 作成日時：2018年1月18日 10時
