十四番隊の愛され隊長

隊長三十五 ページ38

Aside
直ぐに召集がかかり空座町に向かう事に決まった。

『上手く事が運ぶと良いけどね』

隊長羽織を脱いで自分の影に入れる。

藍染「僕としてはその着物も脱いで欲しいのだが」

『背中が開いているのは嫌よ。寒いのは嫌いだから』

この背中を見るのも見せるのも私は嫌い。

惣右介はこの事を知らない。

知っているのは尸魂界でも片手で数えられるくらいしかいない。

藍染「そうか………ではこの羽織だけでも、ね」

惣右介が私の肩に優しく羽織をかける。

『随分と色男になったものね。昔はたじろいでばかりだったのに』

藍染「貴女に手取り足取り教えてもらいましたからね」

楽しそうに笑う惣右介を見てどこか安心した。

自分の目の前に居た貴方は何時も涙を流していて、とても幸せそうだとは思えなかったから。

藍染「そろそろ行こうか」

惣右介が私に手を伸ばす。

私はその手を一瞬握るか迷ったが差し出される手を握った。

藍染「大丈夫だ、貴女は何があっても僕が護る」

暖かくて大きな手で私の手を包む。

『大きい手は好きよ。包まれている感じがして』

惣右介は驚いた様な顔をした。

藍染「貴女にはどう足掻いても及ばないな」













「どれだけかかったとしても、私はきっと貴女の事を蘇らせてみせる。これが私なりの愛の返し方だ」

真っ暗な暗闇に惣右介の声がこだまする。

その瞳に大粒の涙を浮かべて。

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