忘れもの (ページ11)

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…

作間「なんでそんな怒ってるんですか？俺ただ掃除道具の場所聞いただけなのに」

いつ殴られてもおかしくない状況なのに

作間くんは先程からずっと笑みを浮かべている

まるで軍団に挑発しているように

しかも軍団より作間くんの方が背が高くて、見下ろしている形になっているから余計そう見える

「ってめえ、舐めた口聞きやがって!」

作間｢答えられないって事は場所知らない？
もしかして…掃除道具場所が分からないから浮所先輩に掃除当番押し付けたんですか？｣

「えっ…」

なんで、、

私…掃除当番押し付けられたって言ってないーー

むしろ押し付けられたことを隠すために

私自身が掃除当番だったって嘘ついたのに

やっぱり…作間くんには嘘つけないや、、

『俺らは押し付けてねえよ、変な言いがかりやめろクソガキが』

作間「いや…俺見たし。浮所先輩に掃除当番押し付けているところ」

え…

見られてたの？

嘘でしょ…

作間くんには…クラスメイトに馬鹿にされてるところとか見られたくなかったな、、

なんか、自分は悪くないのに恥ずかしいし情けないや

作間「俺、目良いんで間違えません」

そう言った彼の大きな目はいつにもまして、ギンギンとしていて

それは、なんの根拠もない言葉なのに
ものを言わせない程の圧のある強い目力だった

作間｢俺の大切なAのこと…いじめないでくれますか？｣

「っ!」

作間くんの片腕でグイッと体を引き寄せられた

急にこんなことされたからドキドキが止まらない

それに…

またAって、、

自分でも顔が赤いことがわかるほど体温が高い

この時の私は、作間くんの行動に恥ずかしがってて気づかなかったけど

掃除当番を押し付けていた軍団共は
作間くんの『人を殺せる』ような鋭い視線を向けられ、顔を真っ青にして

私とは違う意味で
心臓がドキドキしたらしい

私が通常の体温に戻った頃には、軍団はいなくなってた

当然、作間くんとも身体が離れた

作間「浮所先輩、学校出ましょ」

作間くんはそう言ってニコッと笑った

「…っ、うんっ!」

’先輩’

浮所先輩って呼ばれるのが普通

けれど、さっきAって呼ばれたのが

どうしても忘れられないーー

どうしてAって呼んだのって聞くのも勇気がないし無理

私は学校を出たあともずっとドキドキしたままだった

私…

作間くんへの気持ちに見て見ぬふりするの限界かもしれない