お気に召すまま 2 (yb×in yb× )

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これは夢だろうか



薮からの、告白。




思いもよらない、まったく想定外の告白に、頭は真っ白。



薮が、ぷっと笑った。


『伊野尾、口開けすぎ』

『あぅ…だって…っ』


慌てて両手で口を押さえようとしたら、薮の手が触れて、止められた。


『…返事…聞かせて。考えてからでいいから』




勇気を出さなきゃ


薮は、勇気を出して告白してくれた。


光も、励ましてくれた。



『か、考える時間は…要らない…』

『え？』


こくりと唾を飲み込んだ。



『すき…すきだよ…薮のこと』


顔が熱い。


どきどきする。苦しい。



…でも、いつもの、恐怖でどきどきして苦しくなるのとは違う。


薮が、俺を見つめてるから


『俺の…そばに…いて』


少し頬を染めた薮は、いつもの様にふにゃっと目が無くなっちゃうほど笑ってくれて


『そばにいるよ』



そう言って、俺を引き寄せて抱き締めた。


これが…大好きな人のぬくもりなんだ。



薮の背中に腕を回して、そのぬくもりに包まれたら温かくて優しくて



嬉しくて



涙が溢れた。







上手くいって良かった、と光はホントに喜んでくれて



その日を境に、俺は少しずつクラスメートと会話をするようになった。


まだまだ自分からはなかなか話しかけられないけど



話しかけられたら、ちゃんと返して…自分の事も話せるようになって…




好きな人と思いが通じた途端これとは…自分の単純さにも驚いたし、ホント薮さまさまだ。





初めてのデートは映画だった。



緊張しすぎて、内容が頭に入らなかったけど笑




俺の部屋で一緒に勉強をしてたとき、初めてのキスをした。





幸せで幸せで



薮がいつか俺のそばから居なくなってしまうかもしれないという不安も、この高校1年の冬までは忘れていた。



年が開けて、寒さも厳しい2月。



冬の間は学食でお弁当を食べてたので、この日も3人でお昼休憩をしてたら、薮が俺と光を交互にじっと見てきた。


『やぶ…？』


『…新学期から、転校することになった』


…


『ええっ！？』隣で光が大きな声を出す。


『…受験もあるから卒業まで居たいって頼んだんだけど…ダメだったよ』


薮を見ると、悔しさでいっぱいの表情。



あぁ、来てしまった。





いつかこの日が来ることは覚悟してた。



でも



そんな覚悟、実際その状況になったら…意味ないんだ

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