お気に召すまま 2 (yb×in yb× )

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「伊野尾、目腫れてる笑」

「えぇっ！？もぉー薮のせいだぞっ！」

「…もう泣かせないから」


いきなりそんな事言うから、どきっとしてしまう。


「…ぜったい…？」

「約束するよ」



じっと俺を見つめてそう言う薮に更にどきどきして


顔もめちゃめちゃ熱い。



「ふふっ、真っ赤っか。伊野尾」

「…薮のせいだぞ…」

「では…お詫びしましょう」


ふにっと唇が触れあった。


「ん…」


触れては離れて、吸いついてはくっつく。


しばらくお互いの唇を味わっていた。




薮にもたれかかる。




「…ひとつだけ…わがまま言ってもいい…？」

「いいよ、なに？」

「薮が出発する日まで…できるだけ…そばにいて」

「伊野尾」

「離れてるあいだ淋しくないように…俺の中…薮との想い出でいっぱいにしたいんだ」


薮が、抱きしめてる力を強くした。


「俺も、そう言おうと思ってた…あと1ヶ月ちょっと…出来る限りそばにいたい…って」

「ほんと？」

「伊野尾に忘れられないようにね」

「もう！何で俺が薮のこと忘れんだよっ！」

「うそうそ笑」


ふふっと見つめ合って笑う。





薮のお母さんが作りおきしてくれたご飯を食べて


順番にお風呂に入った。



「お風呂ありがと、温まったぁ」

「今夜冷えるよな。湯冷めしないようにね」

「うん、ありがと」







リビングで少しテレビを見て


「そろそろ寝よっか」


薮がテレビを消した。



薮の部屋に入ると、ベッドの下に客用の布団が敷いてあった。



「伊野尾ベッド使いなよ。俺こっちで寝るから」




自然に口が動いた。



「…いっしょに…寝よ…？」


薮が、目を見開いた。


「いの…」

「そ、そばにいてって…言ったじゃん…おれっ」


薮が、ふにゃっと笑った。


「…そうだったな」

「お、おれは…薮と…くっついて…寝たい…の…」


またさっきみたいに顔が熱い。


「…おれも、ホントは一緒に寝たかった」


そう言って、ベッドの掛け布団をめくる。


「狭いけどいい？」

「…くっついて寝るから…だ、大丈夫だよ」


もそもそと2人で布団の中へ。


薮の匂いがするベッド、落ち着く。


薮が俺を引き寄せてくれる。


「寒くない？」

「うん。あったかい」




くいっと、薮が俺の顎を持ち上げて



「おやすみ」


ちゅっと音がして、唇が触れあう。


「…おやすみ」




驚くほど、心は穏やかだった。

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