お気に召すまま(改) (yb×in yb× )

6 ページ10

薮さんがいつも乗ってる(筈の)電車なうだけど


とりあえず…見当たらない(涙)



あれ昨日って何両目に乗ったっけ…普通は毎
日同じ車両に乗るよね…


でもそう言えば薮さんがどの駅から乗って来るのか知らないし


昨日はそもそも二人ともこの電車じゃなかったし俺も慌てて乗ったからなぁ…




でも心の準備が出来るから、と思いこれからの事をシミュレーションしてみる



何て声掛けよう？
『また会いましたね〜』って軽く行く？


『早めに学校行ってレポートやろうと思って…』わざとらしい？



正直、自分から行くのが初めてでどうしたらいいのか分からない…


俺ってつくづく恋愛にたいして受け身だったんだなあ…





は？



恋愛？



レンアイ？



恋愛って今思った？俺？



恋愛って…恋…！？



こい…！！！




えっ俺って薮さんの事そういう意味で気になってるの！？



だから昨日から何か変なの！？俺っ！！




「…！！」



どうしよう



もし仮にそうだとして、そんな気持ちで薮さんに会おうとしてるなんて間違いなく引かれるんじゃないのか！？



俺男なのに同じ男の薮さんに恋愛感情なんて(←まだ確定ではないが)




史上かつてないくらい混乱した頭をかかえていたら、まもなく大学の最寄り駅に着くというアナウンス。



何故か重くなってしまった足を何とか動かし、電車を降りた。


改札に向かってとぼとぼ歩いていたら、後ろから肩をぽん、と軽く叩かれて


「…？」


この時の俺は色々考え過ぎてて、こういう事態になることは考えてなかった。




「おはよ。伊野尾くん。」



「…？」


全く無防備な状態で振り向いたら、今いちばん会いたくて…でも会ったらどうすればいいのかずっと悩んでたひと…だった。






いやこのタイミングは想定してなかったんだけど。


心の準備して万全の状態で再会したかったのに



多分この時、俺は史上かつてないくらい間抜けな顔をしていたと思う(涙)。



「や…やぶ…さん…」



今いちばん会いたくて、でも会ったらどうすればいいのかとずっと悩んでたその人は、今日も見とれるくらいスーツを綺麗に着こなし、昨日みたいに俺に優しく微笑んでくれた。

7→←5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す