【d!】リンカーン白書！【2】

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「と、いう事で！」


配信開始直後にも関わらず本題を切り出そうとするゾムくんに思わず制止のジェスチャーをした

ノートを掴み油性ペンで大きく『5分は待って！』と書いたページを掲げる


ゾムくんの隣で愉快そうに笑うコネシマ
思わず後ろを振り向くと、私のすぐ傍には緊張で若干顔色が悪くなっているショッピくん


『新メンバーお披露目配信！』

今回のタイトルはこうだ

既にお祭り気分になっている古参メンバーの2人は今か今かと目を輝かせている
トップスピードで始まらなくて良かった…


「え？5分？まってね〜」
「視聴者の皆さんが揃うまでね？」
「シッマ、揃うって何？」
「わからん、裏方の指示やし」


さすが古株、会話で発表まで雰囲気を和やかにしてくれるらしい

その瞬間にも画面はいつもより多めのコメントで埋め尽くされている
関心度の高さが伺え、同時にショッピくんがいつもより無口になっている



「はい時間経った〜！ショッピくん！もうみんなわかってる展開だからそんな緊張せんでも」

「クソ先輩にはこの心情理解できませんか？」

「はぁーい、新しくタレント活動してくれる事になったショッピくんでぇす！」


第一投目から悪態をついたショッピくんに大ウケするコネシマの笑い声をBGMに、ゾムくんが見えない汗を飛ばしながらしっかりと紹介をしてくれた

とりあえず胸を撫で下ろす、ゾムくんがいてくれて助かった

＿＿＿＿


「あ、コメント読んでいい？『なんで急にタレント転向したの？』」

「いろいろ理由はあったんですけど、1番は金ですね…免許欲しいんで」

ゾムくんの読み上げに対し、彼は今まで他のメンバーが触れてこなかった生々しい事情をさらっと明かす

ショッピくんはその後数秒カメラを見つめ、リアルではそうそう見ない爽やかな笑顔をこてんと傾けながら手を擦り合わせた

「お願いします」

そう言うとコンマ数秒のラグの後、画面が大変なことになった
具体的に言うと阿鼻叫喚のコメントと、多額のスパチャ

「ウワー…露骨に媚びるねぇ」

「バイク本体代も欲しいんスよね」

「ショッピくんは今まで裏方で色々やってくれててんけど、基本スパチャはみんなの飯代とか家賃で消えるからなぁ」

「『元裏方さん？』そう、元裏方で〜す」

真顔のピースの後また本音をこぼす

「飯はいいんでその分現金ガメりたいですね」

「いや飯は一緒に食おうや」

焦ったゾムくんの言葉が響いた

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