37.（あなた） ページ37
.
途端に気まずい空気に包まれた気がして。
ギョンスくんは私と目を合わさないし、これこそまさに嫌われたに違いないやつ。
そりゃそうだよね、突然抱きついたなんて、迷惑だったろうし…
『こ、これ、私が直す！だから今日は帰ろ！』
「えっ、でもっ…！」
『いい！私の責任だから！ギョンスくんもう帰っていいよ！！』
私が急かすようにギョンスくんのカバンを押し出すと、困ったような顔をする。
そんな顔されると意思が弱る。だけど、こんな状態で二人きりでいたらもっと気まずくなるだけだし。
どうせ明日は休みだし休日出勤するはめになるけど、まだそっちの方が楽。
せっせと荷物を片付けて、パソコンは電源落ちちゃったから…まぁいいか。
「A先輩」
『はい…っ！？』
ガタンッ
ギョンスくんの方を向いた瞬間両腕を掴まれて、そのままデスクに倒された。
真上にあるギョンスくんの顔は、安定の無表情。
感情がつかめないから、考えてることが読み取れない。
『ちょっちょっ…ギョンスくん！』
手を解こうとしてもびくともしない。
可愛い男の子って思ってたのに、こう見るとギョンスくんは立派な男だ。
ドクドクドクと鼓動が速くうるさくて、雨の音さえ聞こえない。
『ふざけないでっ…』
「ふざけてません、って言ったら？」
『はぁっ！？』
「僕が本気だったら、A先輩とこのまま先に進めるんですか？」
どうしよう、無表情だから、嘘か本気かも分からない。
だけど、だけど、あの日のあいつみたいに拒絶反応が出ないのは、ギョンスくんだから？
「……なんちゃって」
ボソッと呟いた後に、口元を上げて笑ったギョンスくん。
掴んでいた手を離して私の腰に移動させると、ゆっくりと起き上がらせてくれた。
「ごめんなさい、乱暴なことをして」
『え、あ、いや…』
「これ、やっぱり僕がやります。A先輩はゆっくり休んでください」
私の手元にあったUSBを奪うように取ると、大切そうにカバンに入れた。
「では、お先に失礼します」
深々と頭を下げた後、私を置いて事務室を出て行く。
バタンと閉まった音が名残惜しくさえ感じる。
腰が砕けるような、突然であっという間に終わった出来事。
ギョンスくんがギョンスくんじゃないように見えて、何だろう、この感じは。
からかわれてるんだ、やっぱり。
だけどさっきから本当に心臓がうるさくて、どうにかして欲しい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 945人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「EXO」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
airi(プロフ) - 続編見れません（泣） (2014年11月20日 21時) (
レス) id: c79c1f2334 (このIDを非表示/違反報告)
LEI - 誰ぺんですか?それぞれ。 (2014年8月21日 13時) (レス) id: b703cfce1e (このIDを非表示/違反報告)
LEI - アンニョー。D.Oペンです。他には、B1A4[ゴンドゥル]TEENTOP[NIEL]2PM[テギョン]などなどです。チングに、なりませんか? (2014年8月21日 13時) (レス) id: b703cfce1e (このIDを非表示/違反報告)
あやきむ(プロフ) - pocoさん» あとがきは10分で出来ましたよｗｗｗ← グダグダですいません(;_;)ｗｗｗるぅちゃんにはこれからも盛り上げ隊長でいて、もらおうかな、と…..(ゴニョゴニョ)２ではドロドロ頑張りまーすっ＼(^o^)／ (2014年7月29日 20時) (レス) id: c304c77761 (このIDを非表示/違反報告)
あやきむ(プロフ) - 扇さん» ありがとうございます！！２ではもっと内容まとめられるようにします(;_;)ｗｗ (2014年7月29日 20時) (レス) id: c304c77761 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あやきむ
| 作成日時：2014年5月22日 19時
