2話(主人公side) ページ4
最深部らしきところにたどり着くと突然、青い巨人が出てきた。
その事にも、不思議と驚きは感じられなかった。
青く逞しい体と黒い髪、星のように輝く瞳。
大きいので巨人と例えはしたものの下半身は幽霊のように不確かになっている。
その巨人はこちらを向き、胸に手を当て私の目を真っ直ぐ射抜いた。
｢我は、空虚と異界のジン、ルヴァ。突然だが、世界を救うために協力して欲しい。｣
………え？
戸惑いを隠せない。目覚めてから混乱することばかりだというのに。
世界を救う？私が？
…まるで本の中に出てきそうなシチュエーション
そう考えてしまうくらい、自分が生きていた世界では突拍子もない話だ。
それに、先ほどの一言では何がなにやら到底理解できない。
これから私はどこで何をすればいいのか。
どうやって生きていけばいいのか。
疑問や不安ばかりは頭に浮かぶ。
でも。
ルフ、ジンという言葉になんとなく聞き覚えを感じた。
そして、この頼みにうなずかなければいけないような…いや、うなずくしか選択肢がない気がした。
｢わかりました。
……でも、質問させてください。
なぜ、私なんですか。他の人ではダメだったんですか。｣
気になっていたことだ。
こんな訳のわからない状況の中なぜ自分だけ､､という思いが湧き出てくる。
そんな私の質問に青い巨人もといシヴァは表情を変えず、先程と同じように私の目を見つめてくる。
｢お前はルフに魅入られた存在だ。
ルフに魅入られたお前は世界を救うためにとても重要な鍵となる。
よって、他の者ではダメなのだ。お前でなければ意味がない。｣
｢……そんな力、私にあるとは思えないのですが。｣
どうしても認めたくない…
そう思いながらジッとシヴァを見つめる。
｢行けばわかる。すまない、今は時間が無いのだ。｣
そうシヴァが言ったとたん、意識がシャットダウンした。
(すまない……お前の協力が必要なのだ…
その代わり、一生お前を一人にはしない。そばでお前を守ろう。)
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作者名：ただの葉 | 作成日時：2017年5月17日 7時
